もうモノは売らない 「恋をさせる」マーケティングが人を動かす
付箋数:25
「これは本ではない。
あなたが最短距離でマーケティングを学ぶ
ためのマニュアルだ。
これを読めば、成功を最大化し、
失敗を最小化するための考え方が身につく。
ここでは、マーケティングは、どうすれば
うまくいくのかを説明している。
荒れ狂う大海原のような世界を渡っていき、
変化を推進するためのガイドとなるだろう。」
原題「MARTKETING」。
これはMARKETINGのスペルミスではありません。
技法の「Art」と数学の「Math」を意識した
造語です。
サブタイトルは「The Heart and the Brain
of Branding(心と脳のブランディング)」。
これを「 “恋をさせる” マーケティングが
人を動かす」と訳しています。
著者は、元「コカ・コーラ」全世界統括
マーケティング・ディレクターの
ハビエル・サンチェス・ラメラスさんです。
ラメラスさんはコカ・コーラに移る前は、
P&Gでもマーケティングを担当していました。
「誰と結婚するか、なぜ家の車、あるいは
服や時計を買うのかといった、重要な決断は
感情脳が下している。
その仕組みはこうだ。
正確な時間を教えてくれて、しかも何年も
使える道具を買うための費用は、およそ
20ドル―これが理性脳による判断だ。
ところが、もし自分の成功やセンスの
よさを表現したいと思えば、その道具に
2000ドルを払うこともある。
その差は明らかだ。純粋な合理的判断と比べて、
百倍もの費用がかかることになる。」
これは、なぜ高級時計に人々は高いお金を
払うのかという事例です。
人々は「理性」ではなく「感情」によって、
より高い金額を払っています。
そうさせているのは、「ブランド」です。
ブランドは単なる商品名ではありません。
マーケティングというプロセスによって、
製品に結びつけられる価値であり、
それが人々の欲望を生み出しています。
ブランドに魅せられた欲望は、感情的であり、
人が恋をするときと同じように、
ブランドにも恋をしてしまうのです。
「一度ブランドに恋をし、プレミアム価格で
買い続けるようになると、次第に本能を
つかさどる脳(反射脳)が支配しはじめる。
我々はスーパーに無意識のうちに入っていき、
競合製品の誘惑を無視していつもブランドを
買う。こうしてブランド・ロイヤルティが
形成される。」
ブランドへの忠誠は、自分の考えを表明した
ものであり、人間的な価値さえも表している
ように感じてしまいます。
本書は、大きく分けてこのような感情に訴える
ブランディングのパートと、数字をベースにした
マーケティングのパートに分かれています。
第1章 マーケティングは感情分析だ
第2章 マーケティングを最適化するアプローチ
第3章 ブランドへの恋を生み出す対話
第4章 財布を開きたくなる数字のマーケティング
ページを占める割合は、マーケティングより
ブランディングの方が多い印象です。
ただし、海外の本によくありがちな、
エピソードトークばかりで、どこが大切なのか
わかりにくい本ではありません。
ポイントも具体的にまとめられているので、
読んだ後に行動に結びつけやすい本だと
思います。

本書には「マーケティングにおける10の結論」
として、以下のまとめが掲載さています。
1. マーケティングは手段だ
2. 恋をさせよ
3. 新メディアはチャンスだ
4. デザインが生死を分ける
5. 一貫したメッセージを出し続ける
6. 正しく質問する
7. 価格変更はフレキシブルに
8. リピート売上を念頭におく
9. マーケティング部門は工場化する
10.徹底的に理性で判断する
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
- 関連記事
-
- あの明治大学が、なぜ女子高生が選ぶNo.1大学になったのか? (2017/12/20)
- もうモノは売らない 「恋をさせる」マーケティングが人を動かす (2017/11/14)
- 「こんなもの誰が買うの?」がブランドになる 共感から始まる顧客価値創造 (2017/10/27)