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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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かくて行動経済学は生まれり

満足度★★★
付箋数:23

  「『マネー・ボール』の著者は、野球選手の
  市場がなぜ非効率なのか、もっと深い理由が
  あることを知らないようだ。
  それは人間の頭の中の働きから生じている
  ― そして、野球の専門家がなぜ選手を
  見誤るのか、またどんな分野の専門家でも、
  その人自身の頭の中でなぜ判断が歪められて
  しまうのかについては、すでに何年も前に
  説明がなされている。それを行ったのは、
  二人のイスラエル人心理学者、ダニエル・
  カーネマンとエイモス・トヴェルスキー
  である。」

ベストセラーになり、非常に注目された
マイケル・ルイスさんの『マネー・ボール』。

この本は、メジャーリーグの貧乏球団、
オークランド・アスレチックスのGM
ビリー・ビーンさんが球団を立て直す
過程を描いたノンフィクションでした。

ビリー・ビーンさんは、セイバーメトリクス
と呼ばれるデータ分析の手法を武器に、
貧乏球団を常勝軍団に作り変えました。

『マネー・ボール』は、スポーツ界に
データ革命を巻き起こし、映画化もされました。

そんな飛ぶ鳥を落とす勢いだった
ルイスさんの本に対し、冒頭に紹介した
書評がある雑誌に掲載されました。

書いたのはシカゴ大学に所属していた、
経済学者のリチャード・セイラーさんと
法律学者のキャス・サンスティーンさんです。

専門家は直感に従うと、判断を間違ってしまう。

心理学的な側面から見ると、スポーツチームの
スカウトは自分にとって都合の良い証拠
ばかりを集める「確証バイアス」によって
判断を見誤ってしまうのです。

この指摘にルイスさんは衝撃を受けました。

マネー・ボール』では、こうした心理学的な
側面を見落としていたのです。

さらに、ルイスさんはこの指摘を受けるまで、
カーネマンさんとトヴェルスキーさんのことを
知らなかったのです。

カーネマンさんとトヴェルスキーさんは
プロスペクト理論やヒューリスティクス、
バイアスなどの研究により行動経済学を
発展させた第一人者です。

ルイスさんは、書評によって二人のことを
初めて知り、行動経済学がどのようにして
生まれたかについて興味を持ちました。

一体何が、この二人ユダヤ人心理学者を
脳の働きの研究へと向かわせたのか?

どうして心理学者がノーベル経済学賞を
受賞することになったのか?

その疑問に答えるべく、二人の心理学者、
カーネマンさんとトヴェルスキーさんの
足跡を追って、行動経済学が生まれるまでの
過程を描いたのが本書です。

単に二人の研究者の実績を追うだけでなく、
「友情」と「嫉妬」といった感情面にも
注目した人間ドラマにもなっています。

私がこの物語からよくわかったのは、
人の心理に詳しい研究者でも、自分が心に抱く
感情はコントロールできないということです。

  「脳には限界があり、人の注意力には
  穴がある。ダニエルとエイモスが切り拓いた
  その新たな人間像をもとに、 “行動経済学” は
  生まれた。エイモスの死後、その権威となった
  ダニエルは、ノーベル経済学賞の候補者に
  選ばれる。発表当日、一人連絡を待つ
  ダニエルの胸には、エイモスへのさまざまな
  思いがよぎる。」

ルイスさんは、詳細に行った取材から、
事実を積み重ね、魅力的で読み応えのある
ストーリーを紡ぎ出しています。

この本から何を活かすか?

トヴェルスキーさんがノーベル経済学賞を受賞
できなかったのは、その功績が認められる前の
1996年に亡くなっているから。

ノーベル賞は生存者のみが受賞対象なのです。

カーネマンさんがノーベル経済学賞を受賞
したのは2002年のことでした。

ストックホルムから電話がかかってくる日の
カーネマンさんの描写は、まるで映画の
ワンシーンを見ているようでした。

個人的には、トヴェルスキーさんと
カーネマンさんの関係を本書をベースに
映画化しても面白いと思いました。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 経済・行動経済学 | 06:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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