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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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バッタを倒しにアフリカへ

満足度★★★★
付箋数:24

最近は、滅多に使われることが
なくなりましたが、「末は博士か大臣か」
という言葉がありました。

将来有望な子供や若者に対して、
かつては、こう言ったものでした。

しかし、「大臣」は昔とそれほど
変わりませんが、「博士」を取り巻く環境は
大きく変わりました。

  「苦労の末に手にした博士号は、
  修羅への道の片道切符だった。」

学位としての博士号は、大学を4年で卒業し、
修士過程を2年、博士課程を3年と、
浪人・留年せずにストレートに進むと、
最短27歳で取得できます。

しかし、大変なのはそこから先です。
いわゆる「ポスドク」問題があります。

これは、博士号の取得後、期間の限られた
研究に従事する博士研究員が増えて、
大学の教員にもなれず、企業へも就職
できないという問題です。

最近言われる「高学歴ワーキングプア」が
まさにこの状態です。

しかも、専門が「バッタの研究」だったら、
日本で職を得るのが難しいことは、
誰でも容易に想像がつくことでしょう。

  「博士になったからといって、自動的に
  給料はもらえない。新米博士たちを
  待ち受けるのは命懸けのイス取りゲーム
  だった。イス、すなわち正規のポジション
  を獲得できると定年退職まで安定して
  給料をもらいながら研究を続けられる。
  だが、イスを獲得できるのはほんの
  一握りどころか、わずか一摘みの博士だけ。
  夢の裏側に潜んでいるのは熾烈な競争だった。」

本書は、そんな熾烈な競争に晒されながら、
バッタの研究を続ける様子を綴る
科学冒険「就職」ノンフィクションです。

著者の前野 ウルド 浩太郎さんは、
バッタ博士で、本書を出版した時点での
研究上の立場は、任期付研究員。

5年間で成果が上がらなければ無収入に陥る
まだまだ予断が許されない状況です。

本書は、そんな前野さんがバッタの研究で、
西アフリカの国、モーリタニアで奮闘しながら、
ポスドクの悲哀と就活の様子を綴ります。

これが、抜群に面白い。

前野さんが子供の頃からの夢は
「バッタに食べられたい」でした。

果たして、モーリタニアでその夢は叶うのか。

  「バッタが大発生することで定評のある
  モーリタニアだったが、建国以来最悪の
  大干ばつに見舞われ、バッタが忽然と姿を
  消してしまった。人生を賭けてわざわざ
  アフリカまで来たのに、肝心のバッタが
  いないという地味な不幸が待っていた。
  不幸は続き、さしたる成果をあげることなく
  無収入に陥った。なけなしの貯金を切り崩して
  アフリカに居座り、バッタの大群に相まみえる
  日がくるまで耐え忍ぶ日々。バッタのせいで
  蝕まれていく時間と財産、そして精神。
  貯金はもってあと1年。全てがバッタに
  喰われる前に、望みを次に繋げることが
  できるだろうか。」

ちなみに、前野さんの名前に入っている
「ウルド」は、モーリタニアでの研究活動が
認められて授かったミドルネーム。

「誰それの子孫」という意味で、現地では
最高に尊敬されるミドルネームのようです。

本書は冒険要素をふんだんに含み、
読む者をワクワクさせます。

前野さんの文才と、特殊なフィールドワーク
があれば、本を出すにはネタが尽きない
ように思えました。

仮に前野さんが研究者としての終身雇用が
得られなくても、十分やっていけそうな
バイタリティーとキャラクターの濃さが
あります。

むしろ、安定な立場を得ると今の面白さが
なくなってしまうような気がしますね。

この本から何を活かすか?

モーリタニアでは、モハメッドという名前が
圧倒的に多いようです。

  「日本の苗字トップ3に君臨する佐藤、鈴木、
  高橋の比ではなく、驚愕のモハメッド率の
  高さだった。研究所内だけではない。
  出会う人がことごとくモハメッドだった。」

そんな誰もがモハメッドの状態を、
一体、どのように区別しているのか?

これを現地では、「コックのモハメッド」、
「門番のモハメッド」、「大きなモハメッド」、
「小さなモハメッド」と職業や体格と結びつけ
区別しているようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 科学・生活 | 06:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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