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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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イノベーターたちの日本史

満足度★★★★★
付箋数:30

  「本書は、明治から昭和初期にかけての
  日本の近代を、 “創造的対応(creative
  response)” の視点から描こうとしたもの
  である。日本の近代は西欧先進国から
  押し寄せる津波のような外生的挑戦や刺激に、
  いかに創造的に対応していくかという
  歴史だったからである。」

日本人は、創造的(クリエイティブ)でない
と言われる昨今。

本書は日本近代史において、日本の
イノベーターたちが、いかに創造的対応を
見せたのかを検証する本です。

本書で用いられる「創造的対応」という
言葉は、「イノベーションの父」とも
呼ばれるヨゼフ・A・シュンペーターさんが
用いた概念です。

本書に登場するイノベーターは、高島秋帆さん、
大隈重信さん、笠井順八さん、益田孝さん、
三野村利左衛門さん、岩崎弥太郎さん、
高峰譲吉さん、大河内正敏さんの8名です。

彼らが近代日本で繰り広げた創造的対応は、
感心するほど独創的です。

その活躍ぶりは、躍動的で生き生きとして
本書に描かれていて、歴史で習う功績とは、
全く異なる世界が広がっています。

今回、創造的対応という視点から見ること
によって、従来の日本史ではあまり注目されて
こなかった人物も、未来を切り開いた
イノベーターとして紹介されています。

本書の著者は歴史家の米倉誠一郎さん。

本書は、米倉さんが構想40年をかけて
執筆した歴史家としての集大成です。

私が本書で注目したのは「科学者たち」の
創造的対応のパートです。

  「知識をベースに新産業を構築した新興財閥の
  形成史は、本書が考察する “時代の変化を
  機敏に感じ取り、その変化に機械的に反応
  するのではなく、新たな価値を付加する形で
  創造的反応を実現する企業家” 研究にとって、
  うってつけの事例である。なかでも、外す
  ことのできないのが高峰譲吉と大河内正敏が
  創業・発展させた理研コンツェルンである。」

理研コンツェルンは、知識を生み出すことと
それを事業化することにおいて、稀に見る
創造的な組織でした。

理化学研究所を立ち上げた高峰譲吉さんは、
タカジアスターゼとアドレナリンという
大発見をした科学者です。

更にアメリカに渡って創薬開発ベンチャーを
創業して、巨万の富を築き上げた企業家でも
あります。

高峰さんがニューヨークで亡くなった際には、
ニューヨーク大学総長のフィンレー博士が
その葬儀で、一篇の詩を贈ったそうです。

  「極東の騎士、サムライに生まれた彼は
  人類のまことの仇敵と戦うために
  大小二本の刀を科学という武器に変えた
  人生の齢を延し、苦しみを除くために」

もう一人の大河内正敏さんは、科学の研究を
事業に結びつけ、理研をコンツェルン化し、
新興財閥の一角にねじ込んだ立役者です。

組織イノベーションとして研究室制度を
採用し、「科学者の自由な楽園」を作りました。

研究員として在籍して、戦後になって
ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎さんは
理研について次のように述べています。

  「何もよりも良かったことは、そこには
  研究者の自由があったという事実である」

その自由度が科学者の創造性を刺激し、
そこで生まれた発明を理研自ら次々と事業化し、
世にいう理研コンツェルンを形成しました。

コンツェルンは戦前のピーク時には63社、
工場数121にまで達しました。

数々の事業化に成功した理研でしたが、
あくまで「基礎科学の研究が主、発明は従」
という大河内さんの方針が貫けれていました。

本書で描かれているイノベーター達は、
激動する歴史の中で、途方もない創造性を
発揮して難題を突破していきます。

そのストーリーは、私たちをわくわくさせ、
感動を呼びます。

当ブログで2017年に紹介した本は、
6月13日時点で150冊を超えますが、
本書は今年No.1のオススメ本です。

この本から何を活かすか?

理研が初の事業化にこぎつけたのが、
タラの肝油からビタミンAの抽出に成功し、
販売したことでした。

カプセルに入れたビタミンAは、当時、
肺結核の特効薬として爆発的に売れました。

ビタミンAが普及した頃に警視庁から、
「ビタミンA」は学名そのものだから
商品名とするには問題があるとクレームが
ついたそうです。

大河内さんは「それでは」と「理研ビタミン」
に改名して販売を継続しました。

するとそのネーミングがよりわかりやすく、
語呂も良かったので、売れ行きは一層加速
したといいます。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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