外資系投資銀行がやっている 最速のExcel
付箋数:21
エクセルの「速さ」には、2種類あります。
1つは、どのようにデータをまとめるかという
「設計」に関する速さです。
もう1つは、実際にデータを入力して、
表やグラフにまとめるときの「作業」の速さ、
つまり「テクニック」です。
特に、チームでデータを集めて作業する場合は、
いかに「設計」のところを詰めておくかで、
速さに大きな違いが出てきます。
「エクセル作業に時間がかかる理由のひとつに、
エクセルテクニックそのものの問題よりも、
エクセルを使ってやりたいことがイメージ
できていないままエクセル作業を始めてしまう
ことが挙げられます。
具体的には、上司には “なんとなく” 欲しい
データがあるが、具体的にイメージできて
おらず、あいまいなままむやみに部下に
作らせるといったものです。」
そしてテクニックの部分で差が出る要素は、
どれだけマウスを使わずに、ショートカットを
使いこなせるかにあります。
「実は、エクセルは作業スピードが速い人と
遅い人で最も差が出るアプリケーションの
ひとつだと私は考えています。ほとんどの
エクセル作業はマウスを使わずにキーボード
(ショートカット)でできるにもかかわらず、
多くのビジネスパーソンはマウスを使って
いるからです。」
本書の著者は、以前、外資系投資銀行にて
大型M&Aや資金調達のプロジェクトなどを
担当していた熊野整さんです。
熊野さんが執筆して、2015年に刊行された
『外資系投資銀行のエクセル仕事術』は、
以前、当ブログでも紹介しました。
本書では、「設計編」と「テクニック編」の
2つのパートに分けて、エクセルの資料を
速く作る方法を解説します。
実際に熊野さんが投資銀行で使ってきた
ノウハウがすべて詰め込まれています。
「テクニック編」はショートカットの
使い方なので、ここでは「設計編」について
見ておきましょう。
「エクセル作業をゼロから作るとき、
スピードを上げるために最も重要なこと。
それは、エクセルを作成する前に “設計”
というプロセスを入れることです。」
本書のエクセル作業は、個人で簡潔するもの
ではなく、チームで共同作業することが
前提となっています。
そのため、この「設計」を3つのプロセス
に分け、チームで作成イメージを共有し、
ムダのない最短距離でエクセル作業を行います。
1. アウトプットのイメージを作る
エクセルで何を分析したいのかを明確にし、
比較の対象や分解の粒度を決めます。
アウトプットのゴールを関係者全員で共有する
最も重要なステップです。
このときに、言葉の定義も明確にします。
2. インプット→アウトプットの設計図を作る
見たいアウトプットを実現するためには、
どのようなインプットデータが必要なのかを
確認する設計図を作ります。
必要なデータを洗い出し、エクセルシートの
並び順、共有方法、頻度を明確にします。
3. ロードマップを作る
「誰が」「いつまでに」「何を」やればいいか
責任の所在を明確にします。
作成したデータは、妥当性を検証して、
メンバーと協力して最終的な調整を行って
エクセルを完成させます。
本書では、この3つのプロセスが
図解されてるので、どんなものを作れば
いいかが良くわかります。
個人的に、特に必要だと思ったのは、
「インプット→アウトプットの設計図」です。
これはホワイどボードに手書して、
時間をかけずに作ってもいいようです。

収益計画などを作成しているときに
必要となるのが「感応度分析」です。
感応度分析をしておくと、「販売個数が、
◯個まで増えたら、利益はどれくらいまで
増えるのか?」といった質問にも、
すぐに答えられます。
エクセルでは「データ」タブの中にある
「What-If分析」を使うと、感応度分析が
すぐにできるようです。
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