活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?

満足度★★★★
付箋数:27

私は、これまで人工知能に関する本を
少なくとも20冊以上は読んできました。

本書は、その中でもトップクラスで
面白い本です。

最先端の人工知能の仕組や将来性について、
わかりやすく解説されている本は他にも
ありましたが、ここまでのリアルなドラマが
語られている本はありませんでした。

本書の著者、山本一成さんは、プロ棋士に
初めて勝利した最強の将棋プログラム
「ポナンザ」の作者です。

本書は山本さんにとって初の著書です。

今から10年前、山本さんが東大の将棋部に
在籍しているときに、ポナンザのプログラム
を作り始めました。

一番最初のポナンザはとんでもなく弱い
将棋プログラムだったようです。

それは山本さんが八枚落ちでポナンザと
戦っても、勝ってしまうほどでした。

ちなみに、山本さんはアマチュア五段なので、
アマチュアの中ではかなり強い部類の
実力を持っています。

とは言え、八枚落ちとは「玉」以外は
「歩」と「金」しか駒がない状態です。

これだけのハンデでをポナンザが
もらっても勝てないほどだったので、
ずいぶん弱い将棋プログラムだった
ことになります。

それから、ポナンザは「機械学習」を
導入して、驚くほど強くなっていきます。

機械学習とは、最初からプログラムの中に
答えを用意しておくのではなく、
コンピュータ自身が学んでいく手法です。

最近よく耳にする、ディープラーニングも、
この機械学習の中の1つの手法です。

  「ポナンザを作り始めて2年ほど経った日
  でしょうか。とうとう私は負けてしまいました。
  前述のとおり、私の将棋の強さはアマチュア
  五段です。アマチュア最強レベルとかでは
  ありませんが、相当強いです。
  その私が負けました。
  これほどくやしさ、そしてそれをはるかに
  上回る喜びを私は味わったことはありません。
  普通、人間は自分が作ったものが、
  知的な意味で自分を上回る経験はできません。
  唯一の例外があるとしたら、それは子供を
  成長させることでしょうか。ポナンザは
  私の子供で、そして私を超えたのです。」

その後もポナンザは驚くべきスピードで
強くなっていきます。

そして迎えた2013年3月30日。

この日は、現役のプロ棋士がコンピュータに
敗れるという将棋の世界、そして日本の
コンピュータ科学にとって、重要な日に
なりました。

ポナンザが電脳戦で、佐藤慎一四段(当時)
に勝利したのです。

  「対局が終わり、そのあとすぐに記者会見が
  おこなわれました。記者会見のときの雰囲気
  は正直ゾッとするようなものでした。
  異様に沈んだ雰囲気。まさにお葬式と同じ
  空気でした。それも不思議ではなく、
  その日はプロ棋士の絶対神話が死んだ日
  だったのです。」

この時の様子も、ポナンザ作者の山本さん
だからこそできる描写です。

ポナンザはその後も強化学習を繰り返し、
単に強くなっただけでなく、人間同士では
ありえないとされてきた新戦法を編み出す
ようになりました。

それは「ポナンザ流」と呼ばれプロ棋士からも
認められる指し手となります。

そして、2017年4月1日には現役の名人、
佐藤天彦九段にもポナンザは勝利します。

こうしたドラマの部分は実は本書の中では
オマケに過ぎません。

本書では、ポナンザ、そしてアルファ碁を
題材に人工知能の仕組みを解説しながら、
知性とは何か、知能とはなにかについても
考察していきます。

本書は人工知能本の中では、読んで損のない、
オススメの一冊だと思います。

この本から何を活かすか?

知性と知能の違いについて、本書での定義は
次のようになります。

 知性=目的を設計できる能力
 知能=目的に向かう道を探す能力

  「今の人工知能は、 “知能” の枠内では
  人間を超えようとしていますし、一部の
  分野では完全に超えました。
  しかし、 “そもそも、何をすべきか?” 
  という目的を設計できる能力=知性は、
  まだ持ち合わせていません。
  そうした目的は、人間が設計しなければ
  ならないのです。」

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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