コスパ飯
付箋数:21
日本マイクロソフトの社長だった時代から、
国内はもちろん、世界中で「うまいもの」を
食べ尽くしてきた成毛眞さん。
どこで食べたものが、一番うまかったのか?
成毛さんの答えは、国内の名店でも、
美食の都と言われるサン・セバスチャンで
ミシュランの星を獲ったレストランでも
ありません。
成毛さんが、一番うまいと感じるのは「自宅」。
お金がある成毛さんだからと言って、
必ずしも自宅で高級食材を使っている
わけではありません。
また、奥さんが凄腕の家庭料理人でも
ありません。
(ただし、奥様はかなり料理の上手な
方のようです)
なぜ、成毛家の食事がうまいのかと言うと、
その理由は、外で食べてうまかったものを
家でバージョンアップして再現しているから。
ただし、使う食材や調味料はこだわるものの
一般に手に入るものを使って再現します。
しかも、コストパフォーマンスも追求して。
だから成毛さんが外食するのは、
家で真似して作る味を探すためなのです。
「外食は、うまいものを堪能する機会でも
あるが、家でつくるうまいもののヒントを
得るチャンスでもある。むしろ新メニューを
仕入れるため、積極的に外食をしている。
写真を撮ることがあるのは、使っている
素材をメモする手間を省くため、盛り付けの
アイディアを盗むためなのだ。」
本書は、このように食に関して、ちょっと
変わったこだわりのある成毛眞のエッセイ本。
巻末には「食にまつわるガイドブック」
として、10冊の食に関する本が紹介されて
います。
ひょっとすると、このパート書くために、
まるまる一冊、食の本を書いたのではないか
とも疑って見てしまいました。
本編の話は、テーマに沿っているような
沿っていないような食の話しが続きます。
ただ、どんな話になろうとも、
成毛さん独自の視点で語っていますから、
読んでいて飽きることはありません。
さて、私が本書で真似してみたいと思った
「コスパ飯」は、「マルちゃん焼きそば」
で作る「カリカリ焼きそば」です。
スーパーでよく見かけるシンプルな袋に
3人前入りで売っているあの焼きそばです。
レシピは以下の通りです。
1. 中華鍋を熱して米油を十分に入れる。
2. 十分に熱したら、袋から出したままの
形状で、麺を置いて焼く。
3. 中火で根気よく、こんがり焦げ目が
付くように焼く。
4. 具材は豚の切り落としとキャベツで、
別のフライパンで調理する。
5. キャベツはおののくほど大量を使い、
味付けは麺に付属する粉ソースの
3分の2をこの具材の調理で使う。
6. 具材の隠し味には、ベル食品の
「ジンギスカンのたれ」をからめる。
7. 麺は裏返して裏面もしっかり焼く。
麺は決してほぐさず、水も加えない。
8. 焦げ目がついたところ、茶色になった
ところ、色がかわっていないところが
ほどよく分布したら火を止める。
9. 最後だけわずかにほぐし、残った
粉ソースを麺にコーティングさせる
ように全体に振りかける。
10. 麺はシッカリとしたまま皿に盛り付け、
その脇に炒めた具材を配置する。
このレシピのどの部分が外食からヒントを
得たのかわかりません。
しかし、調味料も食材も我が家にあるもの
なので、チャレンジしてみたいと思います。

本書で紹介されている食に関する本で、
読んでみたいと思ったのが、檀一雄さんの
『美味放浪記』です。
「女優檀ふみの父親で作家の檀一雄が、
食をテーマとして綴った放浪記である。
彼は高級料理を好まず、旅先でも現地の
人で賑わう食堂や居酒屋で食事をした。
(中略)昭和40年代に国内から海外まで
渡り歩き、地のものを食べ尽くしたのは
彼くらいであろう。」
文壇屈指の料理人としても名高い檀さん
ならではの視点で綴られているようです。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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