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ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

生物はウイルスが進化させた

2017年05月24日
科学・生活 0
満足度★★★
付箋数:24

2003年に普通の「光学」顕微鏡でも見えるほどの
巨大なウィルスが見つかりました。

その名前は「ミミウィルス」と言います。

見つかったと言うと、少し語弊があるかも
しれません。

ミミウィルスがこの世に存在することが
認められたのは1992年、イギリスのある病院の
冷却塔の中でした。

しかし、ミミウィルスはその巨大さゆえに、
当初は「細菌」の一種と考えられ、
発見された地名から「ブラッドフォード球菌」
と名付けられていました。

誤認されるのも当然で、ウィルスは
「電子」顕微鏡でなければ見ることができず、
ゲノムサイズは生物より小さいというのが
当時の常識でした。

しかし、「細菌」と「ウィルス」は全く別物。

細菌は生物ですが、ウィルスは生物では
ありません。

したがって、細菌には抗生物質が効きますが、
ウィルスには全く効きません。

ウィルス性の風邪を引いた場合、
治療としては対処療法しかできないのは、
ウィルスには抗生物質が効かないからです。

さて、ブラッドフォード球菌が、ウィルスである
ことを発見したのが、仏マルセイユ大学の
ベルナルド・ラ・スコラ博士でした。

ブラッドフォード球菌には、細菌であれば必ず
持っているはずの遺伝子がありませんでした。

そこでラ・スコラ博士は、さらにその性質を
詳しく調べ、それが今までの常識では
考えられないほど「巨大なウィルス」
であることを確認しました。

そして、あまりに細菌に似ていたため、
模倣するという意味の「mimic」から
ミミウィルスと命名しました。

ところで、巨大ウィルスが発見されると、
一体、どんなことが起こるのか?

実は、光学顕微鏡でも見えるほどのサイズだと、
これまで見えていなかった世界が、
どんどん見えてくるようになるのです。

  「本書は、巨大ウィルスたちの世界を
  まずは謙虚に見つめ直したうえで、
  そこから浮かび上がってくる生物世界の
  成り立ちに関するまったく新しい見方を、
  読者諸賢に提供しようとするものである。
  (中略)
   “生物とは何か”  “ウィルスとは何か” 、
  そして “生物の進化とは何か” を問い直す
   “コペルニクス的な転回” を余儀なくされる、
  そんな存在こそが “巨大ウィルス” なのかも
  しれない。」

巨大ウィルスは、ミミウィルスだけでなく、
現在までに100種類以上が発見されています。

本書の著者は、日本で初めて巨大ウィルス
を見つけ「トーキョーウィルス」と命名した
東京理科大学教授の武村政春さんです。

本書では、第1章から第3章までで、
巨大ウィルスの発見でわかったことなど、
ウィルスの性質について詳しく解説します。

そして最終の第4章では、巨大ウィルスに
よってもたらされる新しい生命観となる
仮説を解説します。

それは「ウィルスによる細胞核形成説」
という仮説です。

  第1章 巨大ウィルスのファミリーヒストリー
    ― 彼らはどこから来たのか
  第2章 巨大ウィルスが作る「根城」
    ― 彼らは細胞の中で何をしているのか
  第3章 不完全なウィルスたち
    ― 生物から遠ざかるのか、近づくのか
  第4章 ゆらぐ生命観
    ― ウィルスが私たちを生み出し、
     進化さてきた!?

この本から何を活かすか?

これまでの常識では、ウィルスは細胞性生物から
派生するように生じたと考えられていました。

しかし、竹村さんの仮説では、細胞性生物は、
ウィルスの一部から生じたと考えます。

細胞核はウィルスが作ったとするものです。

そして、さらに仮説は大胆に進み、
細胞性生物は、ウィルスが進化するために
利用してきた「土台」であると考えます。

これが今までの見方や考え方が反転した、
コペルニクス的な転回の仮説です。

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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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