活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT


≫ EDIT

宇宙に「終わり」はあるのか

満足度★★★★
付箋数:24

宇宙が誕生した瞬間は、「ビッグバン」である
ことがよく知られています。

つまり、宇宙には「始まり」がありました。

では、宇宙に「終わり」はあるのでしょうか?

この疑問が本書のタイトルになっていますが、
結論を先にいうと、宇宙に「終わり」はあります。

宇宙の終わり方には、いくつかの可能性が
ありますが、最も可能性が高い終わり方が、
「ビッグウィンパー」です。

宇宙の始まりがビッグバンなので、
それに呼応するように終わりにも「ビッグ」
をつけるのが宇宙理論研究者の習わしです。

ウィンパーとは、すすり泣きの声を表わす表現。

20世紀を代表するイギリスの詩人、
T・S・エリオットさんの『うつろな人間』という
長詩の中の一節に由来するようです。

本書は、ビッグバンからビッグウィンパー
までの全宇宙史を俯瞰する本です。

時間にすると、「10の100乗年」という
途方もない長い時間の宇宙史を扱います。

著者は科学哲学や科学史をはじめ
幅広い分野の研究を行っている吉田伸夫さん。

まず、一般的なイメージが覆されるのが、
宇宙の始まりの「ビッグバン」についてです。

「バン」の意味が、大きなバーンという爆発音
であるため、最初に何やら「爆発があった」と
イメージしている人も多いことでしょう。

しかし、実際にビッグバンで「爆発」が
あったわけではありません。

そこにあるのは、名前のイメージとは真逆で、
密度や温度がきわめて大きいにもかかわらず、
かなり整って秩序だった状態。

高度な一様性があって、異常に高温の中で
膨張が始まるという、かなり不自然で
奇妙な状態です。

宇宙は、そのものすごく整った状態から始まり、
物質の凝集によってその整然さが徐々に崩壊
していきます。

そして、凝集と拡散がせめぎ合う中で、
銀河やガス流が作られ、更に元素合成のある恒星や
造山活動のある惑星などが作られます。

凝集と拡散のせめぎ合いは、最終的には拡散の
方向にながれ、その極限状態に行き着きます。

ビッグバンから10の20乗年後には、
銀河がブラックホールに飲み込まれ、
ブラックホールと漂流天体だけが残ります。

10の40乗年後には、漂流天体などの物質を
構成していた素粒子が崩壊。

最終的に10の100乗年後には、最も大質量の
ブラックホールがホーキング放射で蒸発し、
新たな構造形成の可能性は失われます。

それが、宇宙の終焉、ビッグウィンパーです。

宇宙の終わりといっても、この宇宙が、
自然界から忽然と姿を消すわけではありません。

生物でいうと、死骸と同じ状態です。

そこにあるだけで、宇宙の生命活動ともいえる
新たな構造を生み出す物理現象が何ひとつ
起こらない、完全なる活動停止になります。

構造形成を起こす材料もエネルギーもなく、
後は、永遠の沈黙が支配した状態です。

このビッグウィンパーまでの時間軸で考えると、
宇宙が生まれてから、現在までの138億年は
刹那ともいえる短い期間のようです。

  「本書の “はじめから始めて、終わるところ
  まで終わらない” 叙述を通じて、
  想像を絶する宇宙の巨大さと、ちっぽけな
  存在であるにもかかわらず宇宙の全貌を
  知ろうとする人間の気骨を、実感して
  いただきたい。」

あまりにも私たちの普段の時間感覚とは
かけ離れた壮大な宇宙のストーリーに、
今まで仕事や生活で悩んでいたことが、
ほんの些細なことに思えるかもしれません。

本書は、専門的知識がない人でも、
非常に興味深く読める良書だと思います。

この本から何を活かすか?

H・G・ウェルズさんの古典SF小説、
『タイム・マシン』では、最後は燃え尽きる
太陽の姿が描かれていました。

その描写では、光りが次第に弱々しくなって、
最後には冷えて赤みを帯びた巨星になります。

しかし、現実の太陽は、核融合の効率を上げ、
次第に高温になっていきます。

そして膨張を始めた太陽は、ガスを放出して
軽くなっていき、核融合のエネルギーが
なくなると、最後は白色矮星になるようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

| 科学・生活 | 07:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://ikadoku.blog76.fc2.com/tb.php/3013-0271ea88

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT