活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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「原因と結果」の経済学

満足度:★★★★
付箋数:28

ダイヤモンド社の上村さんから
献本いただきました。ありがとうございます。

2008年から生活習慣病の早期発見と治療を
目的として、40歳以上の健康保険加入者全員の
受診が義務づけられた特定健康診査、
いわゆる「メタボ診断」が始まりました。

2014年までに、メタボ診断に投じられた税金は、
およそ1200億円にも登ります。

果たして、メタボ診断を受けていれば、
人々は健康になり、長生きできるのでしょうか?

メタボ診断で生活指導を受けた人たちは、
翌年、腹囲が小さくなり、体重が軽くなり、
血糖値や血圧も低くなる傾向が見られます。

しかし、ここで立ち止まって考えなくては
いけないことがあります。

それは、メタボ診断と健康の間には、
「因果関係」があるのか、それとも単に
「相関関係」に過ぎないのかという点です。

因果関係とは、片方が「原因」となって、
もう片方の「結果」が生じる関係。

相関関係とは、片方につられてもう片方も
変化しているように見えるものの、
原因と結果になっていない関係。

実は、メタボ診断と健康の間には
因果関係はありません。

デンマークなどの海外の研究結果では、
メタボ診断と健康の間に、因果関係がない
ことが統計的に証明されています。

因果関係と相関関係を取り違えてしまうと、
無駄な税金が投入されるようなことが
起こり得るのです。

因果関係なのか、相関関係なのかを
正しく見分けるための方法論のことを
「因果推論」と言います。

  「日常生活の中でも、因果関係と
  相関関係の違いを理解し、
   “本当に因果関係があるか” を考える
  トレーニングをしておけば、思い込みや
  根拠のない通説にとらわれることなく、
  正しい判断ができるだろう。
  このため本書は、因果推論の根底にある
  考えかたを徹底的にわかりやすく
  説明するために執筆された。」

著者は、『「学力」の経済学』がベストセラー
になった慶應義塾大学 総合政策学部 准教授の
中室牧子さんと、ハーバード公衆衛生大学院
リサーチアソシエイトの津川友介さんです。

「ビッグデータ」という言葉が流行り、
誰でも簡単にデータ分析ができる時代に
なりました。

しかし、いくらデータ分析したとしても、
その結果を正しく解釈できなければ、
因果関係と相関関係を混同してしまいます。

また、それを見極めるリテラシーがないと、
根拠のない通説に惑わされてしまいます。

本書では、実際にある身近な事例を使って、
データから真実を見抜くための統計的思考を
解説します。

ちなみに、2つの変数が因果関係なのか、
相関関係なのかを見極めるポイントは3つ。

 1. 「まったくの偶然」ではないか
   まったくの偶然にすぎない、見せかけの
   相関は意外に多い

 2. 「第3の変数」は存在しないか
   原因と結果の両方に影響を与える隠れた
   変数(交絡因子)があると、因果関係が
   あるように見えてしまう

 3. 「逆の因果関係」は存在していないか
   原因と結果の方向が逆の場合もある

因果関係を確認するときには、最低限、
この3つは頭に入れておきたいところです。

本書では、これまで統計を学んだことのない
人でもわかるように、ランダム化比較試験、
自然実験、差の差分析、操作変数法、
回帰不連続デザイン、マッチング法、
重回帰分析などが平易に解説されています。

今回は、たまたま献本いただきましたが、
もし、本書がこの内容だと事前に知っていれば、
私は間違いなく買っていました。

本書は、自信を持ってお勧めできる一冊です。

この本から何を活かすか?

経済学では、友人から受ける影響のことを
「ピア効果」と言います。

子どもの友人関係を考えた場合、
「勉強のできる友達と付き合って欲しい」
と考える親も多いようです。

果たして、学力の高い友人と付き合うと、
自分の子の学力も高くなるのか?(因果関係)

それとも、学力の高い子ほど、学力の高い
友人と付き合っているのか?(相関関係)

残念ながら、ここでも親の期待に反して、
学力の高い友人に囲まれても、
自分の子の学力にはほとんど影響がない
という研究結果が出ているようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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