活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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ビジネスエリートの新論語

満足度:★★★
付箋数:18

  「私の本には “ユーモア新論語” という
  副題がふられている。なにも、孔子さまの
  向こうを張って、昭和の論語を編むという
  オソルベキ考えはサラサラない。
  なにぶん、孔子さまとは、天の星と
  地のミミズほどの違いもある薄汚れた
  安サラリーマンなのである。
  気よう気ままに書いた楽書にすぎない。
  アプレサラリーマンらしいフテイさも、
  当然まじっていよう。その点からいえば、
  一種の “悪書” であるかもしれない。」

本書は、昭和30年に産経新聞の記者だった
司馬遼太郎さんが、本名、福田定一の名前で
刊行した本の復刻版です。

司馬さんが、新聞記者のかたわら、
作家デビューしたのが昭和31年。

梟の城』で第42回直木賞を受賞したのが
昭和35年のことでした。

本書は、司馬さんが司馬遼太郎になる前の
サラリーマンを題材にしたエッセイ集。

竜馬がゆく』、『燃えよ剣』、
国盗り物語』、『坂の上の雲』などの
司馬さんのファンにとっては、
思わず手を伸ばしたくなる、気になる一冊。

「へ~、あの司馬さんが、こんなことを
考えていたんだ」と、「人間・司馬遼太郎」
が理解できる本です。

植木等さんが、「サラリーマンどんと節」で、
「サラリーマンは 気楽な稼業と来たもんだ」
と歌ったのが昭和37年。

それよりも少し前の時代の
サラリーマン世相が反映されています。

なぜ、サラリーマンエッセイに「論語」
というタイトルが入っているのか?

それは司馬さんの、次の考えに拠ります。

  「私は、この本で日本のサラリーマンの
  原型をサムライにもとめた。
  サムライも発生から数百年間、
  サラリーマンではなかった。
  戦闘技術者という、レッキとした、
  職業人であったのだ。
  だから当然、イクサの駈けひきや、
  刀槍の使い方、戦陣での心得などの面で、
  彼らの行動や思考のヒントとなる金言が
  山とあった。
  ところが、徳川幕府の平和政策は、
  いちように彼らをサラリーマン化して
  しまったのである。もはや、刀槍を
  ふりまわす殺人家としての金言は要らない。
  が、彼らのブッソウなキバは抜いてしまった
  ものの、平凡な俸禄生活者としての
  公務員に甘んじさせるために何らかの
   “サラリーマン哲学” が要った。
  これが儒教というやつである。」

サラリーマンの原型は江戸時代の武士。
武士の精神的な拠り所は儒教。
儒教といえば、バイブルの「論語」。

だから、当時のサラリーマンが共感する
エッセイを「新論語」としたわけです。

サラリーマンも現在と昭和30年代当時とは、
おかれている状況がまったく異なります。

戦後10年、「モーレツ社員」という言葉が
生まれる前の高度経済成長期真っ只中。

本書は、そんな時代にサラリーマンとして、
がむしゃらに働く人たちに対して、
古今東西の名言を引用して励ます
応援歌でもあります。

ただし、現在の私たちが読むと、
感覚的なズレはあるのは否めません。

ですから、当時のサラリーマンの生活や
空気感を知るために読むのがいいでしょう。

この本から何を活かすか?

日本のサラリーマンの元祖を知っていますか?

司馬さんが、元祖と考えるのは、鎌倉時代の
下級官人だった、大江広元さんです。

大江広元さんは、源頼朝さんに
事務手腕を認められ、鎌倉幕府創設時の
政所初代別当を務めた方です。

武力が圧倒的な力を持っていた時代に、
知力だけで生き抜き、当時としては珍しく、
78歳の天寿を全うした、サラリーマン。

「益なくして厚き禄をうくるは窃むなり」
は大江広元さんの座右訓です。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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