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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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生命科学の静かなる革命

満足度:★★★
付箋数:22

  「生命科学とは本来、医学の下僕ではなく、
  新しい産業にシーズを与えるべく推進される
  ものでもない。社会利益に直結する研究は
  科学の意義を問ううえで重要な一側面では
  あるものの、本質ではないのだ。
  生命科学の本質は、生命とはいかなるものか、
  生命とはいかにして生命たりえているのか、
  そのHOWを解き明かす営みにあるはずだ。」

最近の生命科学の研究者たちは、
目先の実益や目に見える結果を
重視し過ぎる傾向にある。

研究者は失われた矜持を取り戻して、
純粋な探求者として、原点に返って欲しい。

本書は、福岡伸一さんのそんな危機意識に
よって書かれた本です。

福岡さんは京都大学で博士課程終了後、
1988年7月から米国ニューヨーク市にある
ロックフェラー大学の分子細胞生物学研究室
にポスドクとして籍を置きました。

ロックフェラー大学は、生命科学分野の
スター研究者が名を連ねる大学院大学です。

これまで在籍したノーベル賞受賞者は
25人います。

その数こそ、ハーバード大学やコロンビア大学
には及ばないものの、生物学・医学分野へは
計り知れないほどの貢献をしています。

AOB式血液型を発見して1930年に
ノーベル生理学・医学賞を受賞した
カール・ラントシュタイナーさん。

ウィルスの正体が核タンパク質であることを
証明し、1946年にノーベル化学賞を受賞した
ジョン・ノースロップさん。

ロックフェラー大学は、このような現代医学の
基礎となる大発見をした研究者も所属した
生命科学の殿堂とも言える研究施設です。

本書では、その偉大な先人たちの偉業を
振り返りながら、生命科学における研究者
としてのあり方を考え直します。

同大学には現在でも5人のノーベル賞
受賞者が現役で所属しています。

本書では、そのノーベル賞受賞者3名を含む、
5名の研究者との対談も収録。

  第1章 生命科学は何を解明してきたのか?
  第2章 ロックフェラー大学の科学者に訊く
  第3章 ささやかな継承者として

ロックフェラーの偉大な先人の中でも、
福岡さんがとりわけ熱く語るのが、
最初の分子生物学者、免疫化学の創始者
とも言われるオズワルド・エイブリーさんです。

エイブリーさんのDNAが遺伝子の実体である
という発見は、ジェームズ・ワトソンさんと
フランシス・クリックさんのDNAの二重らせん
構造の発見へとつながります。

  「ロックフェラー大学に古くから
  所属している研究者に
  エイブリーのことを語らせると、
  そこには不思議な熱がこもる。
  誰もがエイブリーにノーベル賞が
  与えられなかったことを科学史上最も
  不当だと語り、ワトソンとクリックは
  エイブリーの肩に乗った不遜な子どもたち
  にすぎないという意見も少なくない。
  皆がエイブリーを自分に引き寄せて、
  自分だけのヒーローにしたがる。」

福岡さんにとっても、エイブリーさんは、
時代は違えど同じ場所で研究したことを
誇りに思うほどのヒーローなのです。

本書を読むと、理系・文系を問わず、
生命科学が非常にキラキラとしたものに
感じられることでしょう。

本書には、ベストセラーになった
生物と無生物のあいだ』を執筆した後に
判明した新発見についても語られていますが、
同書の続編という位置づけではありません。

この本から何を活かすか?

福岡さんが5名の研究者との対談を通じて
知りたかったことが2つあります。

1つは、「生命とは何か」という問いの答え。

もう1つは、論文や教科書には書かれていない
研究者たちの原体験やパーソナリティーに
関すること。

この2点を意識して、本書の対談を読むと、
福岡さんと同じ気持ちで、5名の研究者の
話を聞くことができそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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