2040年全ビジネスモデル消滅
2017年02月16日
付箋数:18
「本書では、マクドナルドが日本にやってきた
1971年を起点として、その後の時代を四半世紀
(25年)ごとに区切り、1996年を日本社会の
変化の節目ととらえ、83年に日本にやってきた
ディズニーランドの隆盛とマクドナルドの
業績低迷を、日本社会における “価値軸の変化”
に照らし合わせて検証するものです。
私は長らく不動産関係の仕事をしてますが、
実はマクドナルドの低迷とディズニーランドの
隆盛は不動産に対する人々の価値観の変化にも
密接に結びついていることがわかってきました。」
本書の著者、牧野知弘さんは、ボストン・
コンサルティング・グループを経て、
三井不動産に勤務していた不動産の専門家。
現在は独立して、ホテルや不動産の開発や
運用をする傍ら、事業顧問や講演活動なども
行っている方です。
著書では、2015年8月に刊行した
『2020年マンション大崩壊
呼びました。
本書では、不動産に対する価値観の変化から、
マクドナルドやディズニーランドに代表される
ビジネスモデルが時代の変化に対して、
今後どうなっていくかを占います。
マクドナルドは、「量的充足」を目指すことで、
成功したビジネスモデルでした。
日本の高度成長期においては、1億総中流と
均質社会の象徴として発展しました。
また、バブル崩壊後も、デフレをも販売戦略に
積極的に取り込み、隆盛を極めました。
しかし、この成功は一時的なものでした。
日本の生産人口が下り坂になると、
マクドナルドのビジネスモデルは、
急速にコモディティ化して価値が崩壊します。
一方、ディズニーランドは「質的充足」を
目指した時代の先駆者でした。
1983年に日本に上陸したディズニーランドは、
バーチャルな夢の世界を作りあげ、
他では手に入らない、特別なサービスを
提供することで、現在のビジネスシーンを
牽引しています。
ディズニーランドは、客に媚びない価値を
創造し続けることで、デフレ下においても
3年連続で値上げを行いました。
しかし、現在、死角がないように見える
ディズニーランドのビジネスモデルも
やがて限界がやってきます。
「ディズニーランドで、みんなが酔いしれた
甘い夢にも “終わり” の時代がやってきます。
2040年以降の日本に関する、
いろいろな予測をみる限り、日本は人口も、
年齢構成も、そして何よりも社会の
激しい二極化が生じることが避けれれない
時代に突入していきます。
バーチャルな世界が織りなす価値観が
現実世界では何ら富を生み出すものでは
ないことに多くの人が気づきはじめるのです。」
牧野さんが、ディズニーランドに限界が
やってくると予測するのは、1%の超富裕層と
99%の貧困層で構成される超格差社会では、
「質的充足」のビジネスモデルですら、
存続不能だと考えるからです。
第1章 マクドナルドが目指した「量的充足」
社会の実現
第2章 ディズニーランドがこだわる
「質的充足」ビジネスの展開
第3章 マクドナルドはなぜ行き詰ったのか
第4章 ディズニーランドはなぜ三年連続で
値上げできるのか
第5章 マクドナルド型ビジネスモデルに見る
今後の価値下落
第6章 ディズニー型ビジネスモデルによる
価値創造
第7章 ディズニーの夢から醒めたとき
牧野さんが語る、過去の不動産市場の変化や
今後の展望はさすがと思える洞察があります。
しかし、その不動産市場から得られた示唆と
マクドナルドやディズニーランドの
ビジネスモデルの関連は、少し弱いように
感じました。
また、マクドナルドとディズニーランドは、
代表的なビジネスモデルではありますが、
これをもって「全ビジネスモデル消滅」
と言うのは、ちょっと乱暴な気がします。

「一方的に富を手にする、1パーセントの
人たちがディズニーランド型ビジネスモデル
においてやろうとしていることは、
99パーセントの一般庶民に、相変わらず
ディズニーランドの手法で魔法をかけ続けて、
何の得にもならない “夢” を追い求めさせ
続けることにあるからです。」
ずっと魔法にかかったままでいたい、
ディズニーフリークの人は、
本書を読まない方がいいかもしれません。
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