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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカ・コーラ」、どっちが賢い?

満足度★★★★
付箋数:24

・個人で特許を取れば、特許料が入ってきて、
 働かずして収入を得ることができる。

・特許をたくさん取っている会社ほど儲かる。

・特許を取れば、そのアイディアは盗まれない。

特許について、このように思っている方も
多いかもしれません。

これらは、特許に抱く幻想であり、
大きな誤解のようです。

日本で最も特許出願の多い企業の一つに、
パナソニックがあります。

そのパナソニックが大赤字を出した2013年に、
当時、同社の知的財産センター所長だった
豊田秀夫さんは、次のようなコメントを
残しています。

  「特許をたくさん持っているだけでは
  競争相手と戦えないことがよく分かった。
   “この職場で50件” などど決めて特許を
  取っても、使えるのは1、2件ということも
  あった。取得数が多いのは技術者に対する
  発明奨励のため、積極的に出願させたことが
  一因だ。その結果、取得数がノルマ化し、
  実際に活用できる特許は限られていた。
  特許の取得や維持のコストもかさんだ。」

実際にビジネスで使えない「休眠特許」は、
コストだけがかかる不良在庫です。

自己満足でしかありません。

しかし、特許を取ることのデメリットは
それだけではありません。

本書の著者、知財コミュニケーターの
新井信昭さんは、特許を次のように表現します。

  「私なりの言い方をすると、特許という
  ものは “知財に着せた透明な防護服” です。
  放射線から作業者を守る放射線防護服や
  火災から消防士を守る消防服のイメージです。
  防護服を着ていれば、外敵からは守られる
  かもしれませんが、透明なので中身は
  丸見えになってしまっている。
  これが特許なのです。」

新井さんが、特許を「透明な防護服」と
形容するのは、出願してから1年半経つと、
そのアイディアはインターネットを通じて
全世界にさらされてしまうからです。

特許が取れた、取れないにかかわらず、
出願された全てのアイディアが公開されます。

アイディアを守ろうとして出した特許が、
守るどころか、逆にそのアイディアを
全世界にさらす行為になるのです。

特許が取れなかった場合、そこにあるのは、
「大事なアイディアが世界中にさらされる」
というリスクのみ。

では、無事に特許が取れれば安心なのか?

実は、そうでもありません。

なぜなら、アイディアには国境はありませんが、
特許には国境があるからです。

特許は国ごとのものなので、
その効力は国内限定です。

世界中でそのアイディアを守ろうとすると、
何十カ国でも同じ特許を取得しなければ
ならないのです。

新井さんは、特許への誤解を解くために、
このようなデメリットを並べていますが、
特許を完全に否定している訳ではありません。

特許は、出願したほうがいい場合と、
出願しないほうがいい場合があるのです。

本書のタイトルにもなっている、
レシピ公開のサントリー「伊右衛門」と
絶対秘密主義を貫く「コカ・コーラ」の
どちらが賢いかは、その企業の取る
戦略次第なのです。

本書は、私たちの特許に対するイメージを
覆し、特許・知財についての新しい常識を
わかりやすく解説します。

特許の実例を挙げてた説明には、
なるほどと、思わず膝を打ってしまいます。

ただし、後半で知的財産管理技能士の
資格取得を推奨するくだりは、
個人的には、そこまで重宝される
ようには思えませんでした。

この本から何を活かすか?

本書で解説される特許を取得すべきかどうか
見極めるポイントは、次の3つです。

 1. その特許が現在または将来の自分の
  ビジネスに役立つかどうか。

 2. 自分のアイディアをもとに作られた製品を
  見たただけで、他者がそのアイディアを
  真似できるかどうか。

 3. 自分のアイディアをパクった者が現れた
  とき、裁判を戦う覚悟と勇気と費用が
  あるかどうか。

新井さんは、この3つのポイントに加え、
特許を取得する「目的」を、しっかり考える
ようにアドバイスしています。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| マーケティング・営業 | 06:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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