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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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ルービンシュタイン ゲーム理論の力

満足度★★★
付箋数:24

同じ休暇先から同じ土産物を買って帰ってきた
2人の旅行者がいました。

彼らの土産物だけを入れたスーツケースは
空港で紛失してしまい、空港の遺失物係員は
スーツケースの荷物分の損失を補償しなければ
いけません。

係員は紛失物の価値について、180ドルから
300ドルの間だろうという大まかな認識しか
ありません。

そのために、遺失物係員は2人の旅行者の
申告にそって補償しようという計画を立てました。

しかし、旅行者は紛失物を誇張しがちであり、
真実を語る義務は感じていないだろうと
いうことをわかっていました。

そこで遺失物係員は2人の旅行者を
別々の部屋に連れて行き、土産物の値段を
180ドルから300ドルの間でそれぞれ
申告させました。

遺失物係員は両方の申告された値段のうち
低い方を2人に補償すると約束しています。

さらに、もし2人が異なった値段を申告した
場合には、高い値段を言った者に「罰金」
として5ドルを科し、低い値段を言った者に
「褒美」として5ドル与えるとしました。

2人の旅行者は、できるだけ多くのお金を
受け取りたがっている場合、土産物の値段を
いくらと申告すべきでしょうか?

まず、この場合一番高い300ドルを申告する
という判断は旅行者にとって合理的なのか。

もし、相手が300ドルを申告するであろうと
信じていた場合、自分は300ドルを申告すると
300ドルもらえます。

しかし、299ドルと申告すれば、
299+5=304ドルもらえます。

相手も300ドルと申告するのが合理的でないと
気づいた場合、299ドルを選ぶでしょう。

そうすると自分が選ぶべき最適な申告額は
298ドルとなります。

さらに、相手もそのことに気づき298ドルを
選択する場合、297ドルが最適となります・・・。

このゲームでは、相手の立場になって、
相手の最善の行動を予見し、そこから自分の
行動を導くことが必要です。

それを繰り返して、もうそれ以上行動を
変更したいというインセンティブが働かない
状態のことを、ゲーム理論では「ナッシュ均衡」
と呼びます。

この問題では、両方の旅行者が180ドルを
選択するのが唯一のナッシュ均衡です。

果たして、このナッシュ均衡の概念を用いて、
180ドルを選択るのは、旅行者にとって
本当に合理的なのでしょうか?

実際にこのゲームをやってみると
45%が300ドルを選び、19%が295ドルから
299ドルの間を選び、16%は181ドルから
294ドルの間を選びました。

ナッシュ均衡の180ドルを選んだ人は
わずか20%だったという実験結果が
あるようです。

つまり、現実の世界ではゲーム理論のような
合理的な判断をする人は多くないため、
そこまで考えずに本能的に判断した方が
多くの利得を得られる場合もあるようです。

さて、本書はイスラエルの経済学者、
アリエル・ルービンシュタインさんによる
経済学とゲーム理論の本質を伝える本です。

ルービンシュタインさんは、経済モデルを
「科学」ではなく、「寓話」ないし「物語」
として捉えます。

寓話はポイントを絞り、「人生の理」を
私たちに伝えます。

経済モデルもそれと同様に「社会の理」を
伝えると考えるのです。

  序章 経済学という物語
  第1章 合理性と非合理生
  第2章 ゲーム理論:ビューティフル・マインド
  第3章 ジャングルの物語と市場の物語
  第4章 経済学と語用論、そして7つの落とし穴
  第5章 (ある種の)経済政策

本書では、これまでのルービンシュタインさんの
人生を振り返りながら、ゲーム理論の説明をします。

恐らくその点が、読者の好みがはっきりと
別れるところだと思います。

この本から何を活かすか?

2001年の米映画『ビューティフル・マインド』。

ジョン・ナッシュさんがノーベル経済学賞
を受賞することが決まり、教授たちが次々と
彼のところにやって来て、敬意を表するために
ペンをテーブルに置くシーンが描かれました。

ルービンシュタインさんは、偶然その場に
いたそうですが、ペンを置くようなセレモニーは
実際にはなかったそうです。

また、映画のようにナッシュさんを
「マスター」と呼ぶ人は誰もいなかったとも
ルービンシュタインさんは語っています。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 経済・行動経済学 | 06:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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