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ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

モテる構造: 男と女の社会学

2016年12月27日
社会・国家・国際情勢 0
満足度★★★
付箋数:24

タイトルは「モテる構造」となっていますが、
本書はモテ方のHow To 本ではありません。

あくまで一般論ですが、男性の場合は、
仕事が「できる」ことが、男性としての魅力に
結びつくことが多いとされています。

これに対して女性は、仕事が「できる」ことが、
女性としての魅力に結びつくことが少ないと
考えられます。

簡単に言うと、男性は「できる人がモテる」、
女性は「できること」と「モテること」が
関係ないことを意味します。

これは性別による非対称性を示す事例で、
男女の生き方に大きな違いをもたらしています。

極端な言い方をすれば、男性はズボンをはく
ことによって自分が男性であることを確認し、
女性はスカートをはくことによって、
自分が女であることを確認します。

多くの男性は、スカートをはいてみたいという
欲求を抱いても、変な男性と見られる不利益と
天秤にかけて、スカートをはかないことを
選択しているのです。

私たちの社会は昔に比べて男女差別が
少なくなったと言われていますが、
「男性はこのようにすべき」、
「女性はこのようにすべきではない」
という性別による社会的規範が存在します。

なぜ、このような価値観はなくならないのか?

その理由は、どういう相手を性愛の
対象として好きになるかという、
人間の「感情」が性別の「らしさ規範」と
強く結びついているから。

社会におけるジェンダー構造の違いは、
わたしたちの「感情」によって、
支えられているのです。

  「本書では、いままでジェンダー論の中で
  避けられてきた、男女に関わる非対称的な
   “感情” に焦点を当てる。それがどのような
  構造を持ち、どのように性別による規範を
  作りあげているかを、らしさ規範・
  性別役割規範・性愛規範の三種に分類して、
  分析する。さらに、性別による規範が、
  どのような効果もしくは性差別を社会に
  もたらしてるか、社会自体の構造が
  転換するなかで現在変化しているのかの
  解明を目指す。」

著者は、『「婚活」時代』、『希望格差社会』、
パラサイト・シングルの時代』など興味深い
切り口の本をこれまで執筆してきた社会学者の
山田昌弘さんです。

私たちが感覚的に持つ「できる男性はモテる」、
しかし「女性はできることと、モテることは別」
という構造が、どのように生じて、
実際の社会でどのような影響があるかを
様々な角度から社会学的に考察します。

結論を言ってしまうと、感情によって性愛対象
を選ぶ、選ばれるという構造がある以上、
男性らしさ・女性らしさの規範をなくす
ことは難しいようです。

それは、性別による生き難さの違いが
存在するということです。

男性は、常にできなければいけないという
プレッシャーに晒されることになります。

女性は、仕事でできることを追求しても、
性的魅力が増すわけではなく、逆に、
女性としてのアイデンティティを否定される
こともあります。

昔からある、「男と女、どちらが得か?」
という議論では、この「デキる・デキない」の
条件によって答えが違うということです。

近代のジェンダー構造では、男性が得なのは、
「デキる男性」の場合で、「デキない男性」は
損をしているように見えます。

女性は、仕事で活躍したい女性からすると、
男性に比べて損をしていると思いますし、
仕事ができなくても他の道があると見ると、
男性に比べて得と考えることもできます。

この本から何を活かすか?

本書では男女の性自認の形成や違いの観点
からも考察しています。

私がその中で面白いと思ったのは、
男性は「する性」、女性は「である性」
という考え方です。

女性は何もしなくても、女性であるという
性自認はなかなか揺るぎません。

一方、男性は男性であることを証明するために、
様々な男性らしいことを「すること」を
要求されるという考えです。

こうした男性のアイデンティティの
不安定さが、「男性は弱い」と言われる
所以なのかもしれません。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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