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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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空気のつくり方

満足度★★★★
付箋数:25

2016年10月16日、横浜DeNAベイスターズ
球団社長だった池田純さんが任期満了を伴って
退任しました。

池田さんは2011年12月に球団社長に就任以来、
数々の改革を断行し、2015年にはハマスタの
友好的TOBに成功します。

このTOBによって、前代未聞、不可能といわれた
球団と球場の一体経営を実現させ、
短期間で経営を大きく好転させました。

池田さんが就任してからのベイスターズの
観客動員数と売上の推移は次の通りです。

    観客動員数    売上高
2011年  110万人   51億円
2012年  117万人   58億円
2013年  143万人   68億円
2014年  156万人   77億円
2015年  181万人   93億円

2011年以来、観客動員数は65%アップ、
売上高は80%アップ、球団の赤字も80%削減
しました。

実は、この間、ベイスターズは勝つことで
来場者数の増加を実現したわけではありません。

2011年からのセ・リーグのペナントレースでの
結果は、6位、6位、5位、5位、6位と
ずっと最下位争いを続けていました。

それでは、なぜ、ベイスターズは最下位でも、
連日球場が満員になったのでしょうか?

  「データをひたすら分析するだけでなく、
  世の中に漂う空気を嗅ぎ取り、その先の空気を
  つくり出すことが重要なのです。
   “今、ハマスタへ行くとワクワクドキドキする
  何かに必ず出会えるはず!” 
  大袈裟な表現かもしれませんが、ファンと
  お客さまのこうした気持ちをつくり出すことが
  理想です。コントロールできる領域は
  完全にコントロールし、勝敗や天気にすら
  左右されない “空気” をどれだけつくれるかが、
  スタジアムが連日連夜満員になる鍵なのです。」

本書は、池田さんの「空気をつくる」
マーケティングのノウハウをまとめた本です。

ちなみに、本書のタイトルは1970年代に
出版された山本七平さんの『「空気」の研究
へのオマージュでもあります。

池田さんは20代前半でこの本に出会い、
日本人を支配する「空気」が経営においても
重要な武器になることを知ったそうです。

さて、池田さんが、「コントロールできる領域」
として徹底してコントロールしたのが
次の3つの領域です。

 1. コミュニケーション

 地元の方々にあらゆる情報を発信して、
 チームが成長しようともがいている姿を
 我がことのように感じてもらう努力を
 あらゆる側面で続けました。

 2. 経営の革新性・透明性

 ハマスタのTOBを含め、既存の概念にとらわれず、
 新しいことに挑戦し、経営を透明にして、
 地元の方々に伝えました。

 3. ブランディング
 
 横浜という街のブランドにシンクロさせるため、
 広告を含むすべてのデザインにこだわり、
 おしゃれでカッコいいと感じてもらえるよう
 ブランディングを進めました。

池田さんのマーケティングは数値で綿密に
計算されていると同時に、空気感やセンスを
重要視したものです。

  「本当に魅力的なものは人間のハートが
  生み出すものです。顧客のハートを魅了する
  情緒的な何かを創造して、興奮し驚愕し感動する
  エンターテイメントやストーリーを提供する。
  それが究極のマーケティングです。」

本書では、その究極のマーケティングの
極意が惜しみなく公開されています。

ベイスターズファンの方でも、そうでない方でも
非常に参考になるマーケティング本です。

この本から何を活かすか?

  「どんなにマーケティングを駆使しても、
  究極的にいうと、ブランドをつくる
  ということはできません。
  ブランディングという作業をし続ける
  ことはできますが、ブランドと認識
  するのは、あくまで顧客の心です。
  ブランドは “なれるか・なれないか”
  であり、こちらの意図によってつくる
  ことができると考えるのは、
  あまりに傲慢です。」

30代半ばから社長に就任したこともあり、
どちらかと言うと、若くて傲慢と見られる
こともあった池田さんですが、
実は、経営には謙虚でしたたかな方でした。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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