活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT


≫ EDIT

経済数学の直観的方法 確率・統計編

満足度★★★★
付箋数:27

あなたは、100年ほど前のレーダーが
なかった時代に、海軍はどのように照準を定めて
砲撃を行っていたかを知っていますか?

艦砲射撃は、照準鏡の十字の真ん中に
目標を合わせて行われます。

左右は、それほどズレることはありませんが、
難しいのは縦方向の調整です。

砲弾をやや斜め上に撃ち出さなければ
遠くまで飛ばないので、相手までの
距離の調整が難しいのです。

最初に撃った砲弾が目標の手前に落下して、
水柱を上げたなら、それは距離が足りなかった
ということなので、次は砲身の角度をわずかに
上向きに修正して発射します。

そして、2回目も手前に水柱が上がったら、
また角度を上げて距離を伸ばしていきます。

この角度の微調整を、目標の後ろに水柱が
上がるまで繰り返します。

目標を越えたら、「挟叉を得た」として、
角度調整を終了します。

本来なら、距離を伸ばしすぎたので、
角度を下げて微調整したいところです。

しかし、そもそも揺れる船の上から
撃っているので、同じ角度で発射しても
次も位置に落下するとは限らないため、
それ以上の角度調整は行わないのです。

砲弾が目標を挟んで、プラスマイナス
数十メートル以内に落下することが
確認できたら、あとは「数撃ちゃ当たる」
の精神で撃ちまくります。

弾着誤差が+方向と−方向にほぼ同じ距離
だけ生じると判断された時点で、
一切の修正操作をやめて、あとは完全に
確率の神の手に委ねてしまうのです。

この方法が、実際に最も理にかなった
艦砲射撃の方法だったのです。

実は、この「誤差の調整」の思想が、
「確率」を理解する上で欠かせない
概念となっています。

さて本書は、大胆なイメージ化で難解な
数学的概念を解説したことで、好評を得た
長沼伸一郎さんの『物理数学の直観的方法
の続編です。

続編は2冊あって、『経済数学の直観的方法』
の「マクロ経済学編 」と「確率・統計編」です。

本書は後者で、ブラック・ショールズ理論の
理解までを一旦のゴールとしています。

このブラック・ショールズ理論は、
「35歳以上の人間には理解不可能」と
喧伝されるぐらいの難所。

しかし、確率統計を学ぶには絶好の題材のため、
ここがゴールとして設定されています。

  「本書の目的は、確率統計で挫折している
  学習者を一人でも多く救うことにあり、
  たとえ標準偏差のあたりで挫折していた人でも、
  今日から本書を読み始めて、2日以内に体勢を
  立て直すことも十分可能なはずである。
  そしてカンの良い人ならさらにそこから進んで、
  ブラック・ショールズ理論にまで1〜2週間程度で
  到達し、それも越えてさらに確率微分方程式の
  入り口まで数日でたどり着いてそれを大まかに
  理解する、ということも、決して不可能な
  話ではないと思われる。」

ガウスさんの思考を理解することから始まり、
教養としてのブラック・ショールズ理論までを
を身につけていきます。

難しい本ではありますが、図がふんだんに使われ、
イメージはつきやすいと思います。

この本から何を活かすか?

本書で一貫して述べられている原理は、
以下の通りです。

  「この世界の誤差やばらつきは2つの部分、
  つまり一方向のバイアス部分と、
  ±両方向にランダムに現れる部分の
  2つで構成されている」

そもそもカール・フリードリヒ・ガウスさんが、
確率論ができる前にやっていた研究が、
「誤差論」だったので、誤差の修正の
概念を掴むことが確率を学ぶには重要なのです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

| 数学 | 06:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://ikadoku.blog76.fc2.com/tb.php/2903-8b3823a1

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT