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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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人工知能が金融を支配する日

満足度★★★
付箋数:24

2010年5月6日の午後2時32分、アメリカの
株式市場は、突然激しい下落に見舞われました。

下落のスピードはみるみる加速し、
取引量が急拡大しながらあっという間に
信じられないような大幅下落となりました。

特に2時41分からのたった4分間ほどの間には
ダウ平均など主要な指標価格は6%ほど下落し、
前日の終値からの下落幅は10%近くにも
及びました。

しかし、その後20分間で株価は急速に回復。
3時過ぎには、ほぼ下落前の水準に戻りました。

たった30分ほどの間に、信じられないような
速度での下落と回復が完結したのです。

この日のダウ平均の日中の下げ幅は988ドルを
超え、リーマン・ショック後の混乱期にも
なかった過去最大の下げ幅を記録しました。

この日の出来事は、まるで光が点滅する間に
起こったような急落であったため、
「フラッシュ・クラッシュ」と呼ばれました。

このとき、一体、何が起こっていたのか?

最初に疑われた原因は、最も下落した
P&G株の誤発注でした。

しかし、1銘柄が起こした下落と考えるには、
あまりに破壊的で、P&G株の下落は、
株式指数先物の下落より後に始まっていたので、
誤発注が原因ではないことは明らかでした。

事件から5ヶ月近く経過した2010年9月末、
アメリカの証券取引を監視するSECは
フラッシュ・クラッシュを調査した
レポートを発表しました。

下落の引き金となったのは、大手投資家が
S&P株式指数の先物市場に、異例の大口の
売り注文を出したことでした。

それをきっかけに超高速取引(HFT)が、
自動で大量に発注されたことが、
下落を異常に加速させた原因であることが
判明しました。

超高速取引とは、取引の意思決定と執行の
両方をコンピュータが一瞬の内に行う
アルゴリズム取引です。

その取引速度は、瞬きする間もない、
たった数百ナノ秒。

当初は買い手となっていた超高速取引が、
大口の売りが入ったことで、一転して
超高速で売りを大量に浴びせたことが
フラッシュ・クラッシュを招いたのです。

本書では、超高速取引を行うロボットを
超高速ロボ・トレーダーと呼んでいます。

この超高速ロボ・トレーダーによる取引は、
2014年に刊行されたマイケル・ルイスさんの
フラッシュ・ボーイズ』で明らかにされ
話題を呼びました。

現在の金融市場は人工知能を利用した
ロボ・トレーダーの独壇場になっています。

金融市場の情報はコンピュータが扱いやすく、
上手くいけば大儲けできるので、
人工知能の能力を試すには格好の場と
なってきた歴史があるのです。

実は、日本の金融市場だけが、
この動きについて行けていないようです。

  「本書は、著者の長年の金融市場と関連する
  技術に関する経験と知識をもとに、
  メディアではあまり報じられない、
  金融とテクノロジーの裏舞台を暴き、
  金融業界の現在の姿を多くの人々に
  知ってもらうことを目指したものです。」

人工知能の発展を振り返りながら、
それが金融市場でどのように活用されて
いるかを克明にレポートします。

特に、ルネッサンス・テクノロジーズや
ブリッジウォーターなどヘッジファンドが
人工知能を取引に使っている内容が興味深い。

日本ではあまり報道されることのない、
金融市場の裏舞台を開示した一冊です。

この本から何を活かすか?

ルネッサンス・テクノロジーは、
著名な数学者で暗号解読の専門家の
ジェイムス・シモンズさんが1982年に
創業した世界有数のヘッジファンド。

数学、物理やコンピュータ技術に関する
超一流の研究者ばかりを集めた、
かなり異色のファンドです。

業界最高のパフォーマンスを誇りますが、
その運用手法は秘密のベールに包まれています。

外部の資金を受け入れず、従業員の資金を
中心に運用していることで、その運用手法を
秘密のままにしているようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| マネー一般 | 06:23 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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