活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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経営学者の読み方 あなたの会社が理不尽な理由

満足度★★★
付箋数:25

  「同じ “カエル” を見ても、子どもが見るのと、
  生物学者が見るのと、フレンチのシェフが
  見るのとでは異なるように、 “経営の視点” が
  なければ、会社の出来事、数字、あるいは
  ニュースを見聞きしても本当の理解、
  そして対策にはつながらないと思うのです。
  本書は、そうした問題意識をベースに
  16の論文と12冊の本を選んで、そうした
   “視点” について考えました。」

本書は、16本の論文と12冊の本を
ビジネススクール教授と一緒に読んで、
「気づく力」を鍛える本です。

一緒に読んでくれるのは、慶應義塾大学大学院
経営管理研究科教授の清水勝彦さんです。

本書は、清水さんが日経ビジネスオンラインに
2012年10月から2015年9月まで連載していた
「MBAプラスアルファの読書術」などの記事を
構成を変え、大幅に加筆したものです。

書籍編では、「人間のセオリー」について、
論文編では「経営学のセオリー」について
語られています。

最初の一冊として取り上げられていたのは、
1981年に至誠堂から刊行されている
C.N.パーキンソさんの『パーキンソンの法則』。

清水さんがこの本を手にしたのは、
同書で紹介されている「凡俗の法則」に
注目したからでした。

凡俗の法則(the Low of Triviality)とは、
「議題の1案件の審議に要する時間は、
その案件にかかわる金額に反比例する」
という内容です。

これは、何億、何十億の投資案件よりも、
何万円の話のほうが、会議で長く議論に
なるという法則。

具体的には次のような例が挙げられています。

 (1) 1000万ポンドの原子炉の見積もり
 (2) 350ポンドの事務員の自転車置き場建設
 (3) 21ポンドのミーティングのお茶菓子代

パーキンソンさんによれば、(1)は2分半、
(2)については45分、(3)は1時間15分かかり、
(3)はそれだけで決着せず、資料収集のために
次回持越しになったと指摘しています。

まさに「小銭にはうるさいのに、大銭には寛容」
という話で、実際にもよく聞く話です。

何千円とか何万円かの交通費や接待費は
厳しくチェックされるのに、会社が何億、何十億
単位の投資に失敗しても、責任はうやむやに
なるような事例です。

清水さんは、この凡俗の法則のポイントは
「実感」が湧くかどうかにあると解説します。

1000万ポンドの原子炉には、実感が湧く人は
少なく、お茶菓子代の話なら誰でも実感が
湧くので議論がつい長くなってしまうのです。

ここから逆引きして、清水さんは、
企業のビジョンや戦略を社員に理解させたり、
あるいは危機感を持たせるための提案を
しています。

それは「凡俗にも実感できるようにする」こと。

例えば、会社の業績が大赤字なのに、
社員に全然危機感がなければ、
実感としてわかるようにするのです。

赤字だったら給料を下げ、最高益ならボーナスを
はずむことなどで実感として伝わるでしょう。

清水さんと一緒に、本や論文を読み進めることで
わかるのは、問題の答えではありません。

問題解決するための前提として備えておくべき、
現状の「観察力」と「理解力」です。

正しく現状を認識することで、本当の課題や
目的が見えるようになります。

それこそが問題解決の出発点です。

本書は450ページを超える分厚い本ですが、
清水さんの語り口はとても親しみやすく、
意外と時間がかからずに読める本でした。

この本から何を活かすか?

ほとんどの組織は、構造上、どうしても
「理不尽」になってしまうもの。

しかし、理不尽にも「理由のある理不尽」と
「理由のない理不尽」があると清水さんは
指摘します。

大切なのは、それがどちらの理不尽なのかを
見極めること。

社会経験が長くなると、会社は理不尽なもの
と割り切っている方も多いことでしょう。

しかし、若手社員が会社の理不尽な点について
飲み屋で絡んできたら、煙たがらずに、
「これは本当に理由のある理不尽なのか」を
自らに問うチャンスとするべきなのです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 経営・戦略 | 06:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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