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ゲノム編集の衝撃

満足度★★★★
付箋数:24

  「 “デザイナーベイビー” という言葉を
  聞いたことがある人も多いと思う。
  一般に、受精卵などの段階で遺伝子を操作して、
  親の好みの特性を持たせた子どものことを指す。
  背を高くしたり、瞳を好みの色にしたり・・・。
  SFの小説や映画では設定の一つとして
  いろいろな作品に登場する。
  一方、科学者の間では、あくまでSFの世界での
  ものとされてきた。
  これまではデザイナーベイビーを実現できる
  技術がなく、喫緊の問題ではなかった。
  しかし、その状況は、一変した。
  ゲノム編集を使えば技術的に実現できる
  可能性があるというのだ。」

本書は、ついに神の領域に踏み込んだとされる
「ゲノム編集」についてレポートした本。

NHKの報道番組「クローズアップ現代」で
2015年7月30日に放送された「 “いのち” を
変える新技術 ~ゲノム編集 最前線~」
を取材・制作したチームが執筆しています。

ゲノム編集とは、生物の設計図である
遺伝子情報を、思い通りに改変する技術です。

iPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を
受賞した、あの山中伸弥さんが、
ゲノム編集について「この25年の中で、
おそらく最も画期的な生命科学技術」
と評しています。

そもそも、品種改良と遺伝子組み換えと
ゲノム編集では、一体、何が違うのか?

品種改良とは、長い年月にわたって、
交配を繰り返し、理想の品種をつくる技術。

よく実る米や乳量の多い牛など、
目的とする品種ができるまで、何十年もの
年月をかけて交配を繰り返します。

これに対して、外から別の遺伝子を
組み込むことで、より短時間で生物の性質を
変えるのが遺伝子組み換えです。

遺伝子組み換えでは、ある特定の遺伝子を
変異原を使って働かなくしますが、
何万もある膨大な遺伝子のうち、どの部分の
遺伝子が壊れるかがわからないので、
偶然に頼るしかありませんでした。

品種改良よりも時間を短縮できる
遺伝子組み換えであっても、何千回、何万回と
実験を繰り返し、偶然にねらい通りの場所に
働くのを待つしかありませんでした。

これに対して、ゲノム編集は、編集したい
遺伝子と結びつく物質を細胞の中に送り込み、
ピンポイントで目的遺伝子を切り貼りする
ことができる技術です。

これまでの遺伝子組み換え技術より、
圧倒的に高い確率でねらった遺伝子を壊し、
かかる時間も100分の1くらいに短縮できます。

しかも痕跡を残さずに、あらゆる生物に
応用が可能。

ゲノム編集は、食料・エネルギー問題や、
エイズやガンの治療、更には、これまで
根治できないとされてきた難病の治療など
多くの分野で応用が期待されています。

このゲノム編集の技術の中でも、
第三世代とされる「クリスパー・キャス9」が
2012年に発表されてから、大きく技術が
進歩しました。

発表からわずか数年で、ノーベル賞受賞の
有力候補と噂されています。

クリスパー・キャス9では、ねらった遺伝子を
壊すだけでなく、遺伝子を加えて編集でき、
それが正確に、極めて簡単に操作できるため、
爆発的に普及することになりました。

本書は、SFの世界を現実のものとした
ゲノム編集の最前線をレポートします。

私たちの未来に、大きな影響を与える
ゲノム編集のポジティブな面と
ネガティブな面を等しく伝える良書です。

この本から何を活かすか?

  「ゲノム編集といっても、大げさなもの
  じゃないの。細胞にクリスパー・キャス9の
  液を振りかけて、そのあと、細胞の温度が
  37度に保たれているインキュベーターに
  48~72時間、つまり2~3日入れるだけ。
  それで細胞の中のねらった遺伝子が
  切れるのよ。」

これは本書が取材した、米国の女性研究者の
言葉です。

取材班の目の前で、その研究者はゲノム編集を
行ったそうですが、かかった時間は準備も含め、
わずが「2分」ほどだったそうです。

あっという間の作業で、カメラマンも
ゲノム編集のアクションを取り損ねそうに
なったそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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