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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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ファイナンスの哲学

満足度★★★★
付箋数:23

  「一般のビジネスの世界では、 “人間力” とか
   “リーダーシップ” が盛んに語られるように
  なったが、ファイナンスの世界ではこういった
  話が一切聞かれないのはなぜか。
  ファイナンスの世界に人間力は不要なのか。
  金融は “読み書き算盤” の “算盤” の
  部分だから、人間の中身とは関係がないのか。
  答えは否である。」

本書は、ファイナンスの基礎にある人間や
資本主義社会に関する本質的な理解を
深めるための「哲学的思索」を行う本です。

無機質、無味乾燥になりがちなファイナンスに、
血を通わせることで、人とのつながりを
取り戻す本とも言えます。

著者は、日本興業銀行、ゴールドマン・サックス、
森ビル・インベストメントマネジメント社長を経て、
2015年まで森ビルの取締役専務執行役員CFO
を務めていた堀内勉さん。

本書の第1章では、これだけ押さえておけば、
ファイナンス理論を概ねカバーできる、
3つの枠組み「財務諸表の理解」、「資金調達の
種類と方法」、「投資と企業価値」について
解説します。

正直、この章に関しては、他のファイナンス本でも
説明されている基本的な内容です。

しかし、続く第2章、本書のメインディッシュに
進むために、知っておくべき前提条件として、
説明されています。

そして、本書の約6割のページが割かれているのが、
第2章の「本質的な理解のための10大概念」です。

ここではファイナンス技術の根底にある、
重要な基本概念について、ファイナンスとの
つながりを意識しながら解説されています。

  「ファイナンスはどのように人間とつながるのか?
  本章では、これまで出てきたファイナンス理論の
  元になっている基本的な概念とは何なのか、
  そしてそれが経済思想や我々人間存在とどのように
  つながっているのかを探ってみたい。」

この章で語られるのは、以下の10大概念です。

  「おカネ(money)」、「信用(credit)」、
  「倫理(ethics)/信頼(trust)」、
  「利子(interest)」、「利益(profit)」、
  「価値(value)」、「市場(market)」、
  「成長(growth)/進歩(progress)」、
  「時間(time)」、
  「資本(capital)/資本主義(capitalism)」

・おカネの本質とは何か?
・ファイナンスにおける利子とは?
・「利益」とは本来何だったのか?
・なぜ成長が求められるのか?
・資本主義とは何か?

10大概念の説明では、こういった問いが立てられ、
それに答えるように、経済学の哲学、経済思想が
語られています。

  「おカネがなぜ流通するのか、おカネの本質とは
  何なのかについては、歴史的にさまざまな説が
  唱えられてきた。ニクソンショックによって
  金本位制が廃止されて以降のおカネは、
  それ自体の価値から人々の共同幻想や国家の
  信用に支えられてきたものに転換したのは
  間違いない。
  日本人はとかくおカネは忌むべきものと捉えがち
  だが、元来、土地や地域社会に縛りつけられてきた
  人間が、おカネによって移動の自由や職業選択の
  自由を得たというプラスの側面も忘れてはならない。
  他方、おカネが市場経済と結びついたとき、
  資本主義という怪物が出現し、ここから爆発的な
  経済成長と人間疎外が始まった。」

本書は、実務面で役立つ本ではなく、
あくまで本質的な理解に役立つ教養講座的な
内容の本です。

私は、いままで、このような本を読んだことが
なかったので、非常に新鮮でした。

この本から何を活かすか?

  「テレビドラマ『ハゲタカ』の中で、
   “人生の悲劇は2つしかない。
  1つは、金のない悲劇。
  もう1つは、金のある悲劇。” という言葉が
  出てくる。おカネから主導権を取り戻し、
  おカネに使われることなく、おカネをうまく使う
  人生を取り戻すことができるか、そこに我々の
  未来がかかっている。」

本書で引用されている『ハゲタカ』は、
2007年にNHKで放送された経済ドラマです。

このドラマ、NHKオンデマンドで視聴可能なので、
見てみようと思います。
(全5話、単品216円、特選見放題パック972円)

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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