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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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「考える」は技術

満足度★★★
付箋数:23

1940年代の初頭、アメリカ合衆国郵政省は、
深刻な人手不足に直面していました。

第二次世界大戦が始まり、大勢の職員が
兵役に駆りだされていたことがその理由です。

また、ダイレクトメールが爆発的に増えた
ことにより、郵便物の取扱量も急増していました。

このような状況で、全米規模の郵便配達を
最適化するために、郵政省は何をしたのか?

郵政省が採用したのは、あるエンジニア的手法
でした。

非常に簡易なシステムでしたが、
コスト、効率性、正確さ、配達にかかる日数
などの要素を最適化し、諸外国へも影響を
及ぼすものでした。

導入の効果は絶大で、それまで1分間に20通を
処理するのが標準的なスピードでしたが、
このシステムで1分あたり20000通もの処理が
できるようになりました。

そのシステムとは、今ではお馴染みとなった、
わずか5桁の「郵便番号(ZIPコード)」です。

ZIPコードの開発者たちは、モジュラーシステム型
の思考ステップをたどり、全米を10の区域に分け、
0から9までの数字を割り当てました。

更に大きな区域のハブとなる中央郵便局と
各地域の最寄りの郵便局によって
5桁の識別番号をつけました。

このZIPコードが郵便の差出人と受取人をつなぐ
まったく新しいシステムになり、また仕分け作業を
効率化するために専用の機械も開発され、
郵便事業は大幅に効率化したのです。

5桁のZIPコードが導入される以前では、
スプリングフィールドといった、ありふれた地名が
宛先になっていると、郵便物を確実に仕分けるのは、
難しい作業でした。

しかし、郵便物を数字の組み合わせコードに
もとづいて処理するエンジニアリングによって、
仕分け間違いを減らし、圧倒的なスピード化を
実現したのです。

本書は、エンジニアリング的な逆算思考を用いて、
難題を解決し、新しいものを創造した多くの事例を
紹介する本です。

著者は、インド出身のエンジニアで、
現在はアメリカ政府の上級政策顧問を務める
グル・マドハヴァンさん。

マドハヴァンさんが挙げる、エンジニアの思考は、
大きく分けると3つあります。

1つ目は、見えない「構造」を見る思考。

氷山の水面に浮かんだ部分よりも、
その下のかたまりに目を向けます。

システムの各要素が、論理、時間、順序、機能
といった点で、どのように結びついているのか、
そしてどんな状況でそれらが機能するのか、
また機能しないのかを考えます。

2つ目は、「制約」のもとで物事を
デザインする能力。

現実の世界ではどんなシナリオにも、
成果を左右するような制約条件があります。

明白な制約が存在しないときでも、
優秀なエンジニアは制約を見出して、
目標達成の力に変えます。

3つ目は、「トレードオフ」を見極めて、
最適解を選択する能力。

トレードオフは、利用可能な資源、可能性、
理想、限界などの要素でせめぎあう
綱引きのようなものです。

こういった状況で、あらゆる解決手段の
利点と欠点を考慮して、最善の解決方法を
導き出します。

  「構造、制約、トレードオフがエンジニアの
  思考法の最強の組み合わせであり、
  それはいわば音楽家にとっての
  拍子とテンポ、リズムに相当するものなのだ。」

個人的に本書は、思考法を学ぶというより、
数多くのエンジニア的思考の事例を読んで
楽しめる本でした。

この本から何を活かすか?

2000年代の初頭、ストックホルムの交通渋滞は
かなり劣悪な状態で、通勤時間になると
街としての生産性は極端に落ち込んでいました。

交通渋滞の解決策として、ストックホルムには
すでに何十という橋が架けられていましたが、
問題は解決する気配がみられません。

そこで、この渋滞問題を解決するために
招聘されたのが、IBMのエンジニアでした。

IBMのエンジニアは、最初に市内の交通状況を
観測するセンサーを取り付け、データを集めました。

集めたデータは定量的な分析を行い、
システム全体をモデル化しました。

そこで出た結論は、これ以上新しい橋や道を
つくることは得策ではないということ。

その代わりに取るべき対策は、混雑する時間帯に
橋や幹線道路を利用する市民に課金するという
従来の発想とは180度異なる解決策でした。

実際に課金が行われると、一部の市民は
公共交通機関を利用するようになり、
交通渋滞は20~25%緩和され、
通勤時間も3分の2以下に短縮されました。

この課金システムは、世界的な注目を集め、
同じ問題を抱える、アジア、ヨーロッパ、
北アメリカの都市が、導入を検討しはじめて
いるようです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 11:38 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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