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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす

満足度★★★
付箋数:23

1997年に、当時のチェス世界チャンピオンだった、
ロシアのガルリ・カスパロフさんに、
IBMが開発したコンピュータ「ディープ・ブルー」
が勝利しました。

以来、次はもっと複雑な日本の将棋でプロ棋士に
勝つことがコンピュータソフトの目標となり、
ドワンゴが主催した「電脳戦」につながります。

電脳戦では、将棋ソフト側がプロ棋士を凌駕する
ようになり、2015年の対戦では事前にソフトを
プロ側に渡し、プロ棋士がコンピュータの指し手を
研究させる余裕を示しました。

迎えた5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」の第2局。
永瀬拓矢六段は、ある奇策をひらめきます。

それは敵陣に突入した角が成らないという、
前代未聞の一手。

角は成って損はなく得するだけなので、
角不成は常識的な手としてはあり得ません。

しかし、ルール違反ではない。

このあり得ない一手を将棋ソフトSeleneは
認識できず、王手放置で反則負けとなりました。

この団体戦では、プロ棋士側が初めて勝ち越す
ことになりましたが、事前の研究なしでは、
一流のプロでさえも将棋ソフトに勝つことが
難しいことが改めて認識されました。

そして、次にコンピュータが目指したのは、
もっと複雑で玄妙といわれる囲碁で
プロを打ち負かすことでした。

囲碁の場合、次の候補となる手は200近くあり、
この複雑性ゆえに、最新のコンピューターでも
計算を処理しきるのは不可能とされていました。

2000年代後半に入ってモンテカルロ木検索を
行うようになってからソフトの棋力がアップします。

2012年にはプロ相手に、4つの石を先に置く
ハンデで勝てるようになり、アマチュア6段程度の
棋力が認められるようになりました。

そのため、囲碁ソフトがプロ棋士に勝つには
もう10年かかるだろうと言われていました。

しかし、2016年の1月にGoogle傘下の会社が
開発したソフト「AlphaGo(アルファ碁)」が、
中国出身のヨーロッパチャンピオン、
ファン・フイさんに勝利する快挙を成し遂げました。

更にアルファ碁は、2016年3月に世界のトップ、
韓国のプロ棋士イ・セドルさんとの五番勝負で
4勝1敗で勝利し、いまや人間より強くなったと
言われるようになりました。

この将棋・囲碁と人工知能の対戦の歴史は、
本書のコラムを参考に再構成して書きました。

著者の甘利俊一さんは、囲碁が趣味のようです。

さて本書は、脳の誕生から始まり、
現在までわかってきた脳の仕組み、理論で脳が
どのように研究されてきたかを辿る本です。

 第1章 脳を宇宙誌からみよう
 第2章 脳とはなんだろう
 第3章 「理論」で脳はどう考えられてきたのか
 第4章 数理で脳を紐解く(1)
 第5章 数理で脳を紐解く(2)
 第6章 人工知能の歴史とこれから
 第7章 心に迫ろう

数学の理論を使って脳の仕組みを考えるのが
「数理脳科学」。

数学で脳の仕組みを解明したと聞くと、
非常に驚きです。

本書では、神経回路はどのように興奮し、
記録はどうやって蓄えられるかを、
理論モデルを使って解説します。

また、最近注目のディープラーニング(深層学習)
についても数理の視点から紐解きます。

数式はできるだけ使わないと言いつつも、
高校数学以上の数式は普通に登場します。

本書は、いかにもブルーバックスらしい、
玄人好みの一冊です。

この本から何を活かすか?

脳科学の最終目標は「心」を知ることです。

神経興奮のダイナミクスが働いて、
脳の中で多くの部位が覇権を競い、
その結果で自分の心が決まります。

心は脳の中での葛藤を経て定まるのです。

本書では、「囚人のジレンマ」、「究極のゲーム」、
「割引ゲーム」の3つを用いて、心が葛藤する例を
見ていきます。

そのような葛藤までも人工知能は
つくりだすことができるのでしょうか?

不可能と言われていた、囲碁のプロに勝つことが、
あっさり実現されましたから、人工知能が葛藤を
つくりだすことも不可能ではないかもしれません。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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