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手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略

満足度★★★★
付箋数:26

  「僕が博報堂に入社した1997年は、ちょうど
  ブランドエクイティという言葉が流行りだして
  いた頃。先輩たちが書いていた企画書には、
  ポジショニングマップを用いた
   “ポジショニング論” のものもあれば、
  ブランドのアイデンティティを規定した
   “ブランド論” のようなものもあったように
  記憶しています。

  その頃から “どっちも正しいけど、根底にある
  思想が違うので、厳密には論理の整合性が
  とれていないのでは” と、密かにもやもや
  していました。

  その後、アカウントプランニングやインサイトが
  日本に紹介され、普及活動などのただ中に
  いたときも、“また違った思想のものが
  やってきたな”という想いを持っていて、
   “いつか俯瞰した視点から戦略の流派の違いを
  整理したいな” と、うっすら考えていた
  気がします。」

本書は、磯部光毅さんの長年の想いを実現させた
「コミュニケーション戦略」をわかりやすく
体系的にまとめた本です。

磯部さんは、ブランドコミュニケーションから、
エグゼキューション開発までを統合的に
プランニングするアカウントプランナーです。

ところで、「コミュニケーション戦略」とは、
一体、どんなものなのか?

本書では、コミュニケーション戦略を
シンプルに、次のように定義します。

  「人を動かす戦略」

最終的には、お客さんが企業の商品やサービスを
購入することを目的としますから、
人が自発的に行動を起こすように、
顧客心理に働きかける必要があります。

その意味で、コミュニケーション戦略とは、
「心理工学」でもあるようです。

本書では、コミュニケーション戦略を学ぶために、
ベースとなる7つの理論の歴史的な変遷や流れと
基本となる考えを紹介します。

 1. ポジショニング論
  「違い」が、人を動かす。
   お客さんの頭の中で、競合と違った位置づけを
   得る戦略

 2. ブランド論
  「らしさ」の記憶が、人を動かす。
   お客さんの頭の中に、そのブランドらしさの
   連想構造をつくり、記憶に残す戦略

 3. アカウントプランニング論
  「深層心理」が、人を動かす
   お客さんの隠された本音を探りあて、
   動機づける戦略

 4. ダイレクト論
  「反応」の喚起が、人を動かす
   お客さんの直接的な反応を受け止めながら、
   長期的な関係をつくる戦略

 5. IMC論
  「接点」の統合が、人を動かす
   お客さんと複数の接点をつなぎ、
   最適なメッセージ、施策を出し分ける戦略

 6. エンゲージメント論
  「関与」が、人を動かす
   お客さんが自ら関わりたくなるような
   施策を通して、共感しあう関係をつくる戦略

 7. クチコミ論
  情報の「人づて」が、人を動かす
   ソーシャルメディア上で、情報が信頼と共感を
   ともなって拡散することを狙う戦略

本書では、それぞれの戦略論を個別に解説する
だけでなく、時代ごとにどのように影響しあって
きたかも俯瞰します。

7つの戦略は、どれが間違っていて、
どれが正しいというものではありません。

コミュニケーション戦略上では、7つの戦略が、
7層構造のミルフィーユ状態になっているのです。

  「結論。7つの戦略論は、すべて正しい」

この本から何を活かすか?

カスタマージャーニーについては、先日の記事で、
The Customer Journey』を紹介しました。

本書でも、IMC論の中で、カスタマージャーニーの
つくり方についても解説されていました。

本書の中での扱いは、わずか10ページ程。

しかし、カスタマージャーニーマップの書き方は、
少ないページ数ながらも、正直、本書の方が、
わかりやすかったように思えます。

本書の質の高さが伺えますね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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