活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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ウソはバレる

満足度★★★★
付箋数:27

「妥協効果」という言葉があります。

消費者は極端な高低の価格帯を避けて、
無難な価格帯を選びやすいという心理効果です。

松竹梅の3段階で価格を付けると、
真ん中の竹が選ばれやすいというのも妥協効果。

これは3種類並べなくても、2種類並べるだけでも
効果があると言われています。

例えば、あるメーカーがパン焼き器を販売していて、
その売上がイマイチだったとしましょう。

そこに、ずっと高価なパン焼き器をラインナップに
加えるとどうなるのか?

1990年代にあるメーカーが、実際にやってみました。

すると、2台目の高価なパン焼き器を買う客は、
ほとんどいませんでしたが、1台目の普通の価格の
パン焼き器の売上が、実に2倍近くに伸びました。

こういったエピソードが引き合いに出され、
「製品の売上を伸ばしたいなら、高価格モデルを
発売しなさい」とマーケティング的には
アドバイスされます。

本書の著者は、ネット社会となった現代でも、
このアドバイスが通用するかを
アマゾンのウェブサイトで実験しました。

  「結果は? 妥協効果はなくなっていた。
  すっかり消えていたのである。
  この新しい実験は、相対価値から絶対価値への
  変容を実証している。」

本書は、ネット上のアグリゲーション・ツールや
レビューが簡単に利用できるようになった時代では、
かつてのマーケティングの常識が通用しなくなった
ことを示す本です。

消費者は、相対価値で意思決定する時代から、
製品やサービスの「絶対価値」で意思決定する
時代へと変わりました。

それが本書の原題にもなっている
Absolute Value(絶対価値)』です。

本書で言う「絶対」とは、「必ず」という意味
ではなく、「相対」に対しての「絶対」。

現代の消費者はスマホという道具を手に入れた
おかげで、たまたま目の前にある情報だけを
参考にして意思決定することが少なくなりました。

スマホによって最新・最善の情報を手に入れ、
的確な選択を行い、以前より合理的に行動
できるようになっているのです。

  「不合理な消費者なんてもういない」

本書ではかつてマーケティングで言われてきた、
次のような常識はもう通用しないと説明します。

 「企業のブランドは今まで以上に重要である」
 「ロイヤルティを築くことがマーケターの仕事」
 「顧客はみんな不合理だ」
 「過剰な選択肢は人々を麻痺させる」
 「ポジショニングがマーケティングの最重要課題」

絶対価値の時代においては、マーケティングの
定説の9割はもはや通用しないようです。

ステマやサクラを使ってのレビューから、
盛りすぎコピー、ブランドの本音まで、
今の賢い消費者は、すべてお見通しなのです。

では、マーケターは一体どうしたらいいのか?

それには、新しいマーケティングのフレームや
アプローチは必要なのです。

本書で示されるのは「影響力ミックス」という
フレームワークです。

 P : Prior その人が元々持つ嗜好
 O : Other 他者の意見やレビュー
 M : Marketers マーケターの意図

売ろうとする商品やサービスの顧客に応じて、
この3つの要素の影響度を割り出して、
マーケティング戦略を調整するという考えです。

私は、さすがに不合理な消費者がもういない
とまでは思いませんが、購入する前にレビューや
客観情報は手に入れられる時代ですから、
本書の考えは非常に納得感の高いものでした。

この本から何を活かすか?

ジェフリー・ムーアさんは、革新的商品が市場に
普及していく過程には、容易には超えられない
「深い溝(キャズム)」があると主張しました。

しかし、本書ではキャズムがもはや存在しない、
または昔ほど深い裂け目ではなくなったと考えます。

  「誰もがイノベーションのリリース直後に、
  オンラインにアクセスし、自分と同じタイプの
  知人や他人を見つけて、彼らが新製品について
  話すのを聞けるとしたら、どうなるだろう?
  実用重視のアーリー・マジョリティの人々は、
  隣人や職場の同僚がそのイノベーションを
  採り入れるまで様子を見る必要なんてない。
  かつては新しい物事をなかなか採り入れたがら
  なかった人も、ずっと早く採り入れるように
  なるかもしれない。自分と似た人のお墨付きが
  早く得られるからだ。」

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| マーケティング・営業 | 06:25 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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