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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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カリスマ鈴木敏文、突然の落日

満足度★★
付箋数:17

  「 “価格破壊” のダイエー・中内功さん、
   “生活総合産業” を唱えたセゾングループ・
  堤清二さんをはじめ、日本の流通業界には、
  個性豊かなカリスマ経営者が君臨してきた。
  中でも、日本にコンビニエンスストアを根付かせた
  セブン&アイ・ホールディングスの
  鈴木敏文会長は、業績面でのほころびを
  見せることなく、長期政権を維持してきた。
  経営者としての欠点の目立った中内さん、
  堤さんと比べても、カリスマ性は際立っていた。
  完全無欠の経営者として見られていた鈴木会長が
  なぜ、突然の退任に追い込まれたのか。
  その謎を解き明かすため、毎日新聞の記事と
  ニュースサイト “経済プレミア” の連載
   “カリスマの引き際” を大幅に加筆したのが
  この本である。」

180ページに満たない本ですが、約半分のページが
取締役会当日の描写と鈴木敏文さんの緊急会見の
発言内容で占められています。

新聞的に事実を伝えるという意味では、
詳細にレポートされていると言えます。

しかし、そこから何かが浮き彫りにされている
訳ではないので、書籍として読むには、
少し物足りなさを感じました。

それは、鈴木さんへの個別インタビューが
行われていないのが原因かもしれません。

鈴木さんが、井阪隆一社長の更迭を考えるに
至った経緯について、もっと深堀りして欲しかった。

  第一章 緊迫の取締役会
  第二章 緊急会見 崩れた「鈴木王国」
  第三章 創業家との確執―資本と経営の歴史
  第四章 なぜ社外取締役は役員人事に反対したのか
  第五章 カリスマ無き後
  終章 井阪隆一・セブン&アイHD新社長インタビュー

コンビニの神様と呼ばれた鈴木さんの
暴走にストップをかけたのが、社外取締役の2人。

一橋大学名誉教授の伊藤邦雄さんと、
元警視総監の米村敏朗さんです。

お2人は、セブン&アイHDの役員人事や報酬を
検討する「指名・報酬委員会」のメンバーとなり、
鈴木さんの提案に一貫して反対を唱え、
否決の流れを作りました。

  「セブン&アイHDの関係者によると、伊藤氏らが
  社外取締役に就任する人事案は、鈴木氏自らが
  候補者リストを選んでつくったという。
  鈴木氏は当時、自ら選んだ社外取締役から
   “ノー” を突き詰められることなど、
  予想もしていなかったに違いない。」

ここの部分もコーポレート・ガバナンスが
機能した例と書かれていますが、
もっと周辺部分への取材も行ってレポートして
欲しいところでした。

在任期間が7年間と長いことが、5期連続で最高益を
更新し続けている井阪社長を更迭する主な理由。

しかも、58歳の井阪さんの後任として挙がったのが、
66歳の古屋一樹セブン-イレブン・ジャパン副社長
ですから、経営陣の若返りにもなっていません。

そんな人事案ですから、伊藤さんと米村さんの
お2人でなくても、真っ当な見識を持っていれば、
もっと納得できる理由を示さなければ通らないと
考えることは自然なことだったと思います。

セブン&アイHDの創業者、伊藤雅俊名誉会長は、
著書『伊藤雅俊の商いのこころ』の中で、
鈴木さんについて次のように語っています。

  「驕れる者久しからず。(中略)
  己の力を過信する者の末路は、洋の東西、
  時代の今昔を問いません。鈴木会長ももう70歳
  (当時)です。(中略)使命を果たし終えれば、
  静かに舞台を去っていかなければなりません。」

十数年も前にこのような発言があったので、
伊藤さんは、鈴木さんの権力が肥大化するのを
横目に、ずっと今回のような退任劇を
待ち望んでいたのかもしれません。

この本から何を活かすか?

個人的には、この退任騒動の前に明るみになった、
保有していた株の売却についても詳しく取材を
して欲しかったところです。

鈴木さんは2015年2月までの1年間の間に、
保有していた約30万株、推定10億~13億円分を
売却したとニュースソクラが報じていました。

この辺のところも含め、今ひとつ鈴木さん自身の
考えが見えてこないので、本書を読んでも
モヤモヤした部分が解消されませんでした。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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