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科学の発見

満足度★★★★
付箋数:25

  「本書の中で私は、現代の基準で過去に裁定を
  下すという、現代の歴史家が最も注意深く
  避けてきた危険地帯に足を踏み入れるつもりでいる。
  本書は不遜な歴史書だ。過去の方法論や理論を、
  現代の観点から批判することに私は吝かでない。
  それどころか、これまで誰も指摘したことのない、
  科学史上のヒーローたちが犯したミスをいくつか
  暴くことに私は若干の喜びさえ覚えた。」

本書の著者、スティーヴン・ワインバーグさんは、
量子論の統一理論への第一歩となる、電磁場と
弱い力を統合する「ワインバーグ・サラム理論」
を1967年に発表して、ノーベル物理学賞を受賞した
著名な物理学者です。

本書は、ワインバーグさんがテキサス大学で、
科学・数学・歴史について特段の予備知識を
持たない学生を対象に行こなった科学史講座を
ベースに書かれたもの。

原題は『To Explain the World』。

「世界を説明する」ことが、科学者たちを動かす
原動力となっているという意味です。

本書でワインバーグさんは、科学史に残る偉人たち、
特に自然哲学者たちの考え方や手法の誤りを
辛辣に批判します。

アリストテレスさんやプラトンさんは、
今日の基準からすると、愚かだったと。

  「現代科学のある重要な特徴が、これまで言及
  してきたタレスからプラトンに至る思想家には
  ほぼ完璧に欠けている。彼らのうちの誰も、
  自分の理論を実際に確かめようとしないのである。
  誰も(おそらくゼノンは別として)、自分の理論
  の正しさを論証することさえ試みていない。」

このように、現在の基準で過去を裁くことは、
ホイッグ史観またはウィッグ史観とも呼ばれ、
歴史家の中では禁じ手になっています。

なぜなら、ホイッグ史観は、勝利者が自己を
正当化するための歴史になってしまうからです。

しかし、ワインバーグさんの目的は、
過去の自然哲学者の愚かさを糾弾することでは
ありません。

こうした知の巨人たちが、いかに現代科学の
概念から隔たっていたかを示すことで、
現代科学の発見がどれだけ困難だったかを
わかってもらうことが目的です。

そして、ワインバーグさんが評価の基準
とするのが、偉人たちがとった方法論が、
科学の基本を満たしているかどうかです。

ですから、偉人たちの中にはワインバーグさんが、
従来よりも高い評価を与えている方もいます。

その1人が、天動説を唱えたプトレマイオスさん。

プトレマイオスさんの「周転円」説は、
よくできたモデルと評価していますし、
数学に基いて立てた仮説を観測結果と比較した
という点でも高い評価を与えています。

これに対して、アリストテレスさんは、
自説の根拠を示したことでは、科学者として
認めていますが、自然科学の研究において
数学を用いなかったことで評価を下げています。

しかも、科学者としてのアリストテレスさんの
影響力が2000年間も続いてしまったたために、
科学から数学が遠ざけられてしまったとも。

とにかくワインバーグさんの批判は手厳しい。

そして、後半では「科学革命」と呼ばれた時代を
取り上げています。

 第四部 科学革命
  第11章 ついに太陽系が解明される
  第12章 科学には実験が必要だ
  第13章 最も過大評価された偉人たち
  第14章 革命者ニュートン
  第15章 エピローグ:大いなる統一をめざして

この時代の、それこそコペルニクス的転回で
進展する科学の描写は、スピード感があって圧巻。

また、本書で取り上げた歴史的発見の科学的・
数学的背景を解説した「テクニカルノート」が
巻末に掲載されいます。

これが55ページもあって、もっと本書の内容を
詳しく学びたいと思う人にもありがたいです。

この本から何を活かすか?

ワインバーグさんが考える、最も過大評価された
偉人とは、フランシス・ベーコンさんと
ルネ・デカルトさんです。

現代の目で見ると、ベーコンさんの考えには
実効性がない。

デカルトさんに至っては、哲学よりも科学で
多くの仕事をしているにも関わらず、
間違いだらけだったと。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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