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イギリス人の、割り切ってシンプルな働き方

満足度★★★
付箋数:20

2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場
となる新国立競技場。

当初、イギリス・ロンドンを拠点として活躍した
イラク出身の建築家ザハ・ハディドさんの
デザイン案が採用されました。

しかし、ハディドさんのデザインでは、
建築費が莫大になることがわかり、
日本政府はデザイン採用を白紙撤回しました。

一方、ハディドさんは、2012年のロンドン五輪では、
競泳場を設計しました。

日本のときと同様に紆余曲折はあったものの、
このときは、競泳場を完成させています。

完成した競泳場はハディドさんの最初の案から、
規模を三分の一に縮小したものになりました。

ここで言いたいのは、ハディドさんのデザインする
建築物があまりにも斬新なため、アンビルト
(実現しない建築)の女王と呼ばれていた
ということではありません。

  「簡単に言えば、日本では “白紙撤回”、
  ロンドンでは “交渉のうえ縮小させる” という
  結論になったわけです。
  イギリスでは、 “世界中の水泳選手がメダルを
  目指して鎬を削る舞台となるプールでも、
  五輪が終わったら市民プールとして使用される。
  それなら大会後の維持管理のことを考え、
  規模は市民プールくらいのものに抑えよう。
  大会中は仮設スタンドを設置することで、
  五輪競泳場にすればいい” ― という考え方を
  とったのです。」

この競泳場は、五輪開催中には
仮設スタンドの鉄骨が無機質な印象を与え、
「醜いアヒルの子」と揶揄されることもありました。

しかし、大会後には仮設スタンドは撤去され、
ハディドさんが本来デザインした、
伸びやかな曲線の外観を持つ建築物となりました。

現在は、ハディドさんの代表作の1つにもなり、
美しい市民プールとしても愛用されています。

なぜ、イギリス人は、世界の注目が集まる
五輪の競泳場が、「醜いアヒルの子」でいいと
判断したのでしょうか?

また、ハディドさん自身も「これ “で” いい」と
納得したのでしょうか?

イギリス人の「これ “で” いい」という感覚には、
次の2つの考えが含まれているようです。

1つは、本来の目的に立つことで、不必要なことを
やらないと判断すること。

もう1つは、決まったことをこなす感覚ではなく、
常に目的から逆算して最善の手段をとること。

これらの感覚が、イギリス人が「割りきることで、
ストレスなく、淡々と仕事をする」ことに
つながっているようです。

本書は、渡英12年、ロンドン五輪にも携わった
建築家・山嵜 一也さんが、イギリス人の
「割りきったシンプルな働き方」を伝える本です。

イギリスは、日本にとっては成熟国の先輩です。

そこには日本が学ぶべき、
生き方や働き方があるようです。

成熟国というと、発展性がなく、
活気がなさそうなイメージがありますが、
実際のイギリス人は、日本人ほど先行きに
不安や行き詰まりを感じてはいないようです。

本書では、山嵜さんがイギリスにいた12年間で
見てきた、イギリス人の考え方や働き方を
5つの切り口から紹介しています。

また、「オトナの国・イギリス」の振る舞い方を
紹介するだけでなく、2020年に開催される
東京五輪へ向けての提言も書かれています。

山嵜さんは、ロンドン五輪で使われた
競技会場建築の現場監督を務めましたので、
そうした建築家の視点としても興味深い本です。

この本から何を活かすか?

  「未来を予測する最善の方法は、自らそれを
  創りだすことである」

これは、「パーソナルコンピュータの父」とも
呼ばれるアメリカの計算機科学者、
アラン・ケイさんの言葉です。

ロンドン五輪においては、未来から逆算して考え、
それを実行することが、未来を予測することになる
という考えが徹底されていたようです。

五輪後の未来を見据えて、2012年に求められる
競技場が、割に合うコストで造られました。

しかし、割りきって使えるものは何でも使う
精神があったので、五輪の開会式では、
エリザベス女王を「007」のボンド・ガールとして
起用するという大胆な演出も考えられたのです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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| 人生論・生き方・人物・哲学 | 08:37 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

読書感想、有難うございます!

著者の山嵜です。丁寧な感想有難うございます!嬉しいです。気付くの遅くなってしまってすみません。
引き続きどうぞよろしくお願い致します。
山嵜

| 山嵜一也 | 2017/05/18 15:54 | URL |















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