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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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サイロ・エフェクト

満足度★★★★
付箋数:26

コンピュータ業界、エレクトロニクス業界の
世界最大級の見本市として、かつて毎年11月に
ラスベガスで開かれていた「コムデックス」。

1999年のコムデックスの基調講演を行ったのが、
ウォークマンを世に送り出し、一世を風靡していた
ソニーのCEO出井伸之さんでした。

  「われわれは今も、そして将来もブロードバンド
  ・エンタテイメント・カンパニーです。」

絶頂期を迎えたソニーが、インターネット時代に
どのように対応するかについて、会場の期待は
恐ろしいほどに高まっていました。

そこで発表されたのが、手のひらにすっぽりと
収まる小ささで、音はどこまでもクリアな
「メモリースティック・ウォークマン」でした。

コムデックスの聴衆は、この驚くべき端末を見て、
ソニーが再びイノベーションを起こすこと、
確信しました。

インターネット時代に適したウォークマンが、
再び音楽の聞き方を一変させると、
会場の誰もが予感したのです。

しかし、ここで奇妙なことが起こりました。

出井さんは前に進み出ると「2つ目の端末」、
ボールペンほどの大きさのデジタル音楽プレイヤー
「VAIOミュジック・クリップ」を披露したのです。

こちらも素晴らしい商品でしたが、
2つの部門がそれぞれ開発した商品で、
互換性がありませんでした。

更に、ソニーはこの後、3つ目の商品として
「ネットワーク・ウォークマン」を発表します。

互換性のない同じ機能の3つの商品は、
互いに競合し、顧客を混乱させる可能性が
ありましたが、この日の観衆の多くは、
ソニーの多様なクリエイティビティとして、
好意的に受け止めていました。

何年も後にこのラスベガスの晩のことを
振り返ったソニーの幹部の中には、
複数のデバイスの発表は来るべき災禍、
ソニー凋落の前兆であったと見る者もいました。

このソニー例は、組織が巨大化し、
それぞれの部門が専門化して縦割りに
なったことで、時代の大きな変化に
対応できなかった象徴です。

フィナンシャル・タイムズ紙アメリカ版編集長、
ジリアン・テットさんは、このような状況を
「サイロ・エフェクト」あるいは、
「サイロ・シンドローム」と名付けました。

本書では8つの事例を紹介し、専門化した縦割り
構造が引き起こす愚行と、その対応策を論じます。

ちなみに、「サイロ」とは、もともと
穀物を保存するために農場に設置された高い塔、
あるいは穴を指す言葉。

北海道の酪農地帯、十勝で生まれた私にとっては、
馴染みがあって、昔よく見かけたサイロですが、
一般にはあまりピンとこない表現かもしれません。

20世紀半ばには西欧の軍隊が誘導ミサイル用の
地下保管庫を「サイロ」と呼ぶようになり、
それを経営コンサルタントが、
「他から隔絶して動くシステム、プロセス、部署」
を指す用語として使うようになったそうです。

  「重要なのは “サイロ” という言葉は物理的な
  建物や組織(部署など)を意味するだけでなく、
  心理状態を指すこともある、という点だ。
  サイロは建物の中にも存在するが、
  われわれの心の中や社会集団の中にも
  存在するのだ。サイロは部族主義を
  生むと同時に、視野を狭める。」

本書が面白のは、サイロに囚われた事例だけでなく、
サイロ化せずに創業時の熱を維持している
フェイスブックや、他の企業のサイロを衝いて
儲けている企業の事例も紹介していることです。

「サイロに囚われないための四つの教訓」として、
「5つ」の教訓が披露されていたのが玉に瑕。

サイロの象徴としてソニーが全面押しされて
いますが、文化人類学の視点も交え、
鋭い切れ味で、非常に読み応えのある本でした。

この本から何を活かすか?

サイロを知らない方は六花亭のチーズサブレ、
リッチランド」を食べてみてください。

六花亭の北海道土産の定番としては、
マルセイバターサンドが有名ですが、
私は子供の頃からリッチランドが大好きでした。

バターとチーズをたっぷり使った、
サクサクとした食感のサイロ型のサブレです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 経営・戦略 | 08:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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