活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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「無理」の構造

満足度★★★★
付箋数:28

ビジネス書としては薄い本ですが、
納得感が高く、非常に面白い本でした。

「どんなに頑張っても自分は報われない」
「自分の良さを評価してくれる指標がない」
「なんであの人だけがいつも得をするのか?」

私たちの仕事や日常生活の中には、
「理不尽」と感じることが溢れています。

著者の細谷功さんが、本書で試みたのは、
「世の中にある理不尽さ」のメカニズムを
可視化して理解することです。

社会に出て、たくさんの理不尽なことを経験すると、
若いころには納得できなかったことが、
年を取るに従い、そもそも世の中は理不尽なもの
であると、次第に理解できるようになります。

本書では、「理不尽さを可視化」するこによって、
2時間余りでその境地に至ることができます。

理不尽の構造を理解することによるメリットは、
無駄な努力をしなくなり、必要以上にストレスを
感じなくなること。

最初から理不尽をなくすことが無理だと
わかっていれば、そこではなく、もっと別の所に
エネルギーを注ぐことができるのです。

細谷さんは、このことについて「永久機関」の
例を出して説明しています。

外部とのエネルギー収支がゼロでも動き続ける
機械や仕組みを「永久機関」と呼びます。

かつては、たくさんの科学者が、
永久機関の開発にチャレンジしていました。

しかし、エントロピー増大の法則(熱力学の
第二法則)の登場により、原理原則によって
その存在が否定されると、永久機関の発明を
信じて挑戦する科学者はいなくなりました。

細谷さんが強く感じているのは、
組織や社会の中では、理不尽をなくすという、
永久機関の発明に挑戦する人が、
いまだに後を絶たないということです。

細谷さんが、本書で提示するのは、
 「理不尽なのは “世の中” なのではなく、
  “私たちの頭の中” である」
というキーメッセージ。

私たちが理不尽さを感じる原因の1つは、
本来同等でないものを同等であると
思い込んでいることによる誤解です。

本書では、これを「対称性の錯覚」と呼びます。

私たちは反意語にある2つの言葉や概念が、
方向は逆でも同等のレベルにあると捉えますが、
実はそのレベル感に大きな違いがあります。

例えば、「善と悪」。

善いことはニュースになるのに何年もかかるのに
悪いことは一瞬でニュースに出てしまいます。

また、1つの善い事が起こっても世の中は
簡単には変わりませんが、テロなどの悪いことが
1つ起こるだけで、世の中は一変してしまいます。

このようにAからBに行くのと、
BからAに行くのでは同じだと思っているのに、
実は逆向きは簡単でないことが
「対称性の錯覚」です。

他にも、「悲観と楽観」、「同じと違う」、
「変えると変えない」、「知っていると知らない」
などのように、一見、対照に思える概念が、
実は非対称であることはたくさんあります。

こういった「錯覚」の積み重ねが、私たちが、
日常感じる「理不尽さ」の根本にあるというのが
細谷さんの仮説です。

  「私たちが世の中に抱く “理不尽さ” は、
  起こっている現象が原因ではなく、自分たちの
  頭の中にあるのです。人間の頭の中こそが
  理不尽である、ということを受け入れられれば、
   “理不尽” が “理” に変わります。
  逆に、受け入れられなければ、すべては “無理”
  に変わります。」

この本から何を活かすか?

私たちが日常で行うコミュニケーションも、
「対称性の錯覚」が隠れた、理不尽さの宝庫です。

よくある「伝える」と「伝わる」ことの間に
ある大きなギャップも、言葉の定義が曖昧である
ために起こります。

ただし、ここで細谷さんが言っているのは、
「だからコミュニケーションには意味がない」
のではなく、「だからこそコミュニケーションは
重要である」ということです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 07:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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