活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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あの日

満足度★★★
付箋数:19

2016年3月にビジネスジャーナルの記事
「STAP現象、米国研究者Gが発表…
小保方晴子氏の研究が正しかったことが証明」
が投稿されて話題になりました。

米テキサス大学医学部ヒューストン校の
キンガ・ヴォイニッツ博士らの研究グループが、
「STAP現象」によく似た現象を報告したとする
記事です。

しかし、どうやらSTAP現象が再現されたわけでも、
小保方晴子さんの研究が正しかったことが
証明されたわけでもないようです。

さて、そんな話題があったので思い出したように
読んだのが本書です。

本書は、小保方晴子さん本人が綴った手記。

  「これまで、他の方に影響が及ぶことを恐れ、
  私からの発信を控えてきました。
  しかし、ここまで社会を大きく騒がせた
  この出来事に対し、このまま口をつぐみ、
  世間が忘れていくのを待つことは、さらなる
  卑怯な逃げであると思い、自分の持つ弱さや
  未熟さもさらけだして、この本の中に真実を
  書こうと決めました。」

まず、思ったのが小保方さんの文章のうまさです。

前半の希望に満ちた研究生活から、
後半は一転して、若山照彦教授の魔の手にかかり、
捏造の張本人に仕立てられていくという、
「巻き込まれ型」のストーリーです。

前半の自由な明るさと、後半のバッシングによって
精神的に壊れていくコントラストが秀逸。

心も体もボロボロの状態の中で、
これだけ読者を惹きつけるストーリーが
書けるのは本当に凄いことだと思います。

だからこそ、STAP肯定派・否定派、
小保方さん擁護派・非難派のどちらにとっても
本書が話題になるのがよく分かります。

本書では、小保方さんの心情面の変化が、
詳細に描かれています。

特に、若山さんに対しては、尊敬していた
状態から、激しく非難するようになるまでの
ギャップが大きいですね。

仲間だと思っていた人たちからも非難され、
世間からもバッシングを受けた苦しみや、
何か大きな力に押さえつけられる恐怖感など、
小保方さんの感情面が、よく伝わってきます。

ただし、本書を読んでも結局何が真実なのかは
よくわからないのが正直なところです。

マスコミや世間に踊らされ、人生が狂ってしまった
一人の女性の物語と考えて読むのが、
妥当なところかもしれません。

小保方さんの可愛らしい容姿を想像して読めば、
「魔女狩り」に遭ってしまった女性の物語で、
しかもバッドエンディングですから、
「マッチ売りの少女」を読むように、
共感する方も多い作品だと思います。

  「私に実際に課せられた検証実験の条件は、
  記者会見で発表された内容よりずっと厳しい
  ものだった。 “魔術を使うことを防ぐために” 
  監視カメラや立会人による24時間の監視に加え、
  私の行動のすべてが立会人によって記録された。
  (中略)
  ポケットのない洋服で通勤することを強いられ、
  その上からエプロンを立会人によって着せられ、
  脱ぐことは許されなかった。毎日、着せられる
  エプロンは、レントゲンを撮る時に着せられる
  鉛の防衣のように重く感じられ、
  体を自由に動かすことはできなかった。

  私を採用してくれた先生たちからは、
   “魔術を使う” と言われ、誰も信じてくれない。
  一人で理研内の廊下を歩くことも、
  許されなかった。」

この後、笹井芳樹さんの自殺などもあり、
小保方さんは、次第に崩壊していきます。

この本から何を活かすか?

  「不思議と今でも実験をしている夢を見る。
  心はもちろんウキウキしていて、ピペットマンが
  押し返してくる感触を右手に感じる時すらあるのだ。
  でも、その夢から覚めた時、思い描いていた
  研究はもうできないんだなと思うと、
  胸が詰まり、涙が勝手にこみ上げてくる。」

今回の一連の騒動で、人が泣ける限界まで、
小保方さんは涙を流しています。

もちろん、小保方さんの大好きな
マイクロピペッターのピペットマンでは、
その大量の涙を吸い取ることはできません。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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