活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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生物界をつくった微生物

満足度★★
付箋数:17

  「腸内微生物叢の改変には、食習慣を少し変える
  ことが刺激になる。一番簡単な方法は、
  最も適した微生物群を含んだ飲み物をガブ飲み
  して、その小さな生物が胃の中で生き残り、
  十二指腸を経て腸管の中に定着してくれると
  信じることである。何を隠そう、これがお腹の
  具合をよくしようと懸命になっている御婦人方の
  ために、生きた乳酸菌(ファーミキューテス門)
  やビフィズス菌(アクチノバクテリア門)を
  含んだ、健康食品として売られているヨーグルト
  の正体なのだ。このような健康食品としての
  ヨーグルトに対する苦情は、小さな文字で
  書かれた “科学的データはありません” という
  星マーク付きの言い訳でかわされている。
  いい点は、ヨーグルトが無害だということだ。」

本書は、私たちの身の周りにいる微生物や細菌、
ウィルスについて語る本です。

著者のニコラス・P・マネーさんは、
マイアミ大学で、植物学の学部長を務め、
多くの菌類学に関する研究論文を書かれた方。

マネーさんの本は、日本でも
チョコレートを滅ぼしたカビ・キノコの話』や
ふしぎな生きものカビ・キノコ―菌学入門
などが翻訳されています。

訳者は日本菌学会教育文化賞などを受賞している
日本菌類界の大御所、小川真さん。

小川さんは、本書の翻訳を頼まれた時期は、
両膝は関節炎で痛み、緑内障の手術も控えていた
ため、一度はやめておこうかと思ったそうです。

この時点で小川さんは77歳ですから、
体のあちこちに悪い所が出てきていても、
やむを得ない年齢です。

しかし、病気に負けると、そのままガタガタと
行ってしまうと思い、気を取り直して、
本書の翻訳を引き受けたそうです。

  「届いた本に目を通してみると、文章が難解な
  だけでなく、原生生物や細菌、ウィルスなど、
  いわゆる広範な微生物が主題で、分子生物学的
  手法による系統学や分子生態学の記述が多い。
  著者も勉強中らしく、肩に力が入っているのか、
  独断と偏見に満ちた部分もあって、途中で何度か
  投げ出したくなった。ただ、私にとって目新しく、
  面白いことも多かったので、どうせ読むなら翻訳
  してしまおうと、六ヶ月ほどでやってしまった。」

訳者の小川さんが言っている通り、面白い部分は
確かにありますが、かなり専門用語が多く、
普通に読むには、ちょっと苦しい感じがします。

ちなみに「独断と偏見に満ちた部分」の一例は、
次の「寿司」に関する記述です。

  「この夜食では、海洋生物の切り身を次々と
  食べなければならない。アナゴやヤツメウナギ、
  サメやエイなどの硬骨魚の身が短冊状に切られ、
  粘っこい米飯に乗せられたり、海苔に包んだり
  して醤油をちょっとつけてクイッと飲み込む。
  クジラやアザラシ、イルカ、マナティー、
  セイウチなどの赤い肉が上等の刺し身になり、
  ウミガメのスープも出てくる。生ガキを冷酒の
  助けで一気に飲み下し、イカはどれも細く刻まれ、
  オレンジ色のウニの生殖巣は海苔で巻いた
  ご飯の上に載せられ、クラゲは天ぷらになる。
  (中略)この悪食は行きすぎだ。そのためか、
  海が以前に比べてひどくきれいになったように
  思える。」

寿司に関する、マネーさんの偏見はひどく、
小川さんもこの文章を訳すに当たり、
たまらず、次の訳注をつけています。

  「訳注:著者にとって寿司は軽食で、
  ゲテモノらしい」

  「訳注:この記述は著者の誤解と偏見の
  ように思える」

それに加えて、話しがあちこちに飛ぶのも、
本書が読みにくい一因です。

この本から何を活かすか?

  「微生物が自分の力で天候の変化を調節する
  という説は、雲ができるのは、空中浮遊微生物の
  周りに雨滴や氷の結晶ができる生物的生成過程の
  結果であるとする考え方から始まった。」

天候を変える微生物がいるというネタも、
あまり興味を引くような書きっぷりではないので、
非常にもったいない感じがしますね。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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