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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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コーヒーの科学

満足度★★★★
付箋数:26

本書は、ブルーバックスの名に恥じない、
本格的にコーヒーを「科学」する本です。

著者はコーヒーを本職とする方ではありません。

滋賀医科大学で講師をする医学博士の旦部幸博さん。
専門は、がんに関する遺伝子学と微生物学です。

旦部さんは大学生の頃に、趣味でコーヒーを
始めました。

理系の学生らしく、コーヒーの香味成分に
興味を持ち、「コーヒーの香味の元になるのは
何だろう?」、「焙煎や抽出のとき、それらの
成分はどう変動しているのだろう?」
といった疑問を抱いたそうです。

しかし、国内のコーヒーに関する書籍を探しても、
科学的な回答を示したものはありませんでした。

以来20数年間、海外から学術論文などを集め、
地道に勉強を続けましました。

また、親交のあるコーヒー実務家の協力を得て、
独自の研究も重ねました。

趣味ではありますが、これまでに集めた
旦部さんのコーヒーに関する科学知識の
集大成が本書です。

  「本書は私が二十余年前に読みたくて
  たまらなかった “コーヒーの科学” の本です。
  これまでに得た知識をエスプレッソみたいに
  ぎゅっと濃縮して、ページの許すかぎり
  詰め込みました。当時の私と同じように
  コーヒーを深く知りたいと願う人、
  理科好きの人、知的冒険を楽しみたい人、
  そして何より、コーヒーが好きな人たちの
   “なぜ?” に答える一冊になればと願います。」

正直、単にコーヒーのおいしい淹れ方を
知りたい方や超文系の方にはハードルが高い
本かもしれません。

例えば、コーヒーの透過抽出(ドリップ方式)の
基本原理は、次のように説明されています。

ドリッパーを1本の円筒に置き替え、
筒の中に吸水済みで厚さ1センチのコーヒー層が
5段あるとします。

円筒上部に注がれた水は、この5段粉層を格段
6秒かけて通過する条件で考えます。

1段目に水が加えられると、まもなく平衡に
達して、最初の成分が一定の比率で粉と水に
分配されます(ステップ1)。

そして6秒後、その水が2段目に移動すると
同時に、1段目に新たな水が加えられ、
格段で分配が行わえます(ステップ2)。

このとき、ステップ1で粉に残った分だけが、
2段目では、ステップ1の1段目で水に移行した分
と2段目の粉が最初に含んでいた分の合計が、
それぞれ一定比で粉と水に分配されることに
なります。

更に6秒後には水が次の段に移動・・・と繰り返し、
最後には5段目から筒の下に流れ出ます。

このモデルでわかることは、最初の成分は
高濃度に抽出されていて、しばらく一定濃度で
抽出され続けた後、減っていき、最後には
出つくしてしまうことです。

これは成分の分離や分析に使う
「クロマトグラフィー」の原理を応用したもの。

私は学生の頃、ずいぶんクロマトグラフィーの
実験をやりましたから、この説明を聞いて、
「そうか、あれだったのか」と膝を打ちました。

一般の方からすると、結構マニアックに思える
解説に聞こえるかもしれませんが、
科学的にコーヒーを知りたい人にとっては、
感動できる本だと思います。

ちなみに、一般的に「長く抽出しすぎると
雑味が出る」と言われていることについては、
その雑味の成分まで解説されています。

  「このような苦味を持ち、かつ比較的親油性が
  高い成分には、メイラード反応が進むと生成
  される “悪いお焦げ” コーヒーメライノジンA
  や、エスプレッソっぽい苦味のVCOがさらに
  縮合した重合物(ビニルカテコールポリマー)
  などが挙げられます。」

この本から何を活かすか?

コーヒーサイフォンの抽出について、
こんな解説がありました。

  「よく考えると、 “サイフォン” という名前
  なのに “サイフォンの原理” は働いていません。
  サイフォンの原理は高さの異なる二つの水面を、
  水を満たした管でつないだときに水が移動する
  現象で、この器具で働いているのは水の蒸発と
  凝縮から生まれる圧力なのですから。」

確かに、言われてみるとその通りで、
私は今までまったく気づきませんでした。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 科学・生活 | 06:22 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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