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日本人の闘い方

満足度★★★
付箋数:20

致知出版社、小森さんより献本いただきました。
ありがとうございます。

本書は、日本最古の兵法書「闘戦経」の精神を
現代のビジネスパーソンに伝える本。

著者は、当ブログでも多数著作を紹介している
明治大学文学部教授の齋藤孝さんです。

最初に「闘戦経」について、説明しましょう。

今から約900年前の平安時代の末期に
書かれた兵法書です。

著者は朝廷の書物を代々管理してきた大江家35代の
大江匡房(歴史上の人物敬称略、1041~1111年)
といわれています。

当時、中国の兵法書「孫子」が既に日本にも
伝わっていて、匡房はこれに精通していました。

源義家は匡房から「孫子」の兵法を学び、
前九年の役や後三年の役で活躍したという
逸話もあります。

有名な「雁行の乱れ」もその1つ。

義家は進軍中に雁が列を乱して飛んでいるのを見て、
かつて匡房から習った兵法を思い出し、
敵兵が隠れているのに気づいたというエピソードです。

さて、それほどまでに「孫子」の教えに通じていた
匡房が、「兵は詭道なり(戦いの基本は敵を欺く
ことにある)」として徹底的に勝つことだけに
こだわった兵法が、日本人には合わないと感じて
著したのが、本書で紹介される「闘戦経」です。

  「 “戦いというのはただ勝てばいいのではない、
  ズルをして勝つのではなく、正々堂々と戦うべき
  である” と、中国ではなく日本の戦うスタイルを
  宣言しました、それが『闘戦経』なのです。
  そうした思いを匡房は『闘戦経』を入れた函に
  金文字で書いています。
   “『闘戦経』は『孫子』と表裏す。
  『孫子』は詭道を説くも、『闘戦経』は真鋭を説く、
  これ日本の国風なり” 」

知略ばかりに頼らず、武の精神を伝えるのが、
「闘戦経」なのです。

  「孫子十三篇、慴れの字を免れざるなり
  (慴れを持ちすぎてはいけない)」

「孫子」の最善の策は「戦わずして勝つ」ことです。

最小限のリスクで確実に勝ちを収めるのが、
優れた兵法書である「孫子」の特徴です。

ですから、実際に戦う場合でも、勝つために
敵の背後を突くことに、何の躊躇もありません。

匡房は、これは慴れ(おそれ)の念に根ざしたもの
と考え、「闘戦経」では、覚悟を決めて
正々堂々と戦うべしと書いています。

日本的な武の精神を持った戦い方は、
「遠からん者は音に聞け・・・」と名乗り合いから
始め、先陣を切って敵に向かっていきます。

命を落とすリスクよりも、名誉を重んじる戦い方。
これは大和魂につながっています。

但し、「闘戦経」は死を慴れず、何のリスクも
考えないで、ただ突っ込んでいくことを
良しとしてのではありません。

あくまでも、精神面で逃げずに強くなる意味で
語られているのです。

「闘戦経」は「孫子」と表裏であり、
足りない部分を補完する役割を担うのです。

  「私自身は、平安の終わりにこれほど精神性の
  高い、戦いの書物が書かれたこと、
  そして九百年以上の時を越えてそれを読める
  ということに感動しています。
  この当時、 “武” ということをテーマにして、
  それを順序立てて整理し、しかも一人ひとりの
  心構えとして書くというのは、それだけ深い
  問題意識を持っていたのだと思います。」

ビジネスでも、ただ儲けさえすればいいという
段階から、次の段階を迎えている現代においては、
「闘戦経」の精神を改めて学ぶ必要があるのかも
しれません。

この本から何を活かすか?

本書の読み下し文は家村和幸さん著、
闘戦経 (武士道精神の原点を読み解く)
を参考にしているようです。

家村さんによると、建武の新政の立役者として
活躍した楠木正成も、「闘戦経」を学んだ
武将の一人。

大江時親に就いて、「孫子」と「闘戦経」の両方を、
まさに表裏として学んだそうです。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 経営・戦略 | 11:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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