生物と無生物のあいだ

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)
(2007/05/18)
福岡 伸一 商品詳細を見る
満足度★★★★★
本書の帯には、多くの著名人が絶賛するコメントが書かれ、
“私にとっても”紛れもなく面白い本で、
読み終わる前から、妻にも本書を薦めたほどです。
しかし、本書が“世間一般に”、
そこまで賞賛される本なのかは、甚だ疑問です。
それは、この本を面白いと感じる読者層は、
かなり限定されているように感じるからです。
本書は、分子生物学者の福岡伸一さんが、
自らの研究生活をベースに、
「歴史的発見の裏側」「謎解き」「生物学入門」「先人へのオマージュ」
など、いろいろな要素を巧みな文章力で綴る、科学エッセイです。
具体的には、
「生物と無生物を分けるものは何か?」をキーワードとして、
ウィルス、DNAの発見、動的な平衡状態などのテーマを扱います。
繰り返しになりますが、本書は“私にとっては”、
本当に読み始めると止まらなくなり、
高校生の頃、ファラデーの「ロウソクの科学」に出会った時の
衝撃を思い出しました。
確かに、福岡さんの文章の上手さも際立っています。
しかし、ベストセラーだからという理由で、
まったく生物に興味がない人が本書を手にすると、
高度ではなくとも、専門的な話しもけっこう多いので、
苦しいことになるかもしれません。

それでは、どういう人が本書の対象になるか、考えてみましょう。
まず、大前提となるのは、「少しでも生物(学)に興味がある」ことです。
知識のレベルをあわせて考えると、
1.生物を勉強中又は、これから勉強予定の意識の高い「高校生」
2.専門的に勉強したことはないが、生物に強い興味がある人
3.かつて生物を勉強したことがあるが、遠い記憶となっている人
などがちょうど良いのではないでしょうか。
ちなみに、私の大学時代(約20年前)の専門は生化学なので、
上の3番に当たり、同じ理由が私の妻にも該当します。
また、現役で生物を勉強・研究している方や、
つい最近まで専門としていた方にとっては、共感できる部分は多くとも、
本書から得るものは意外と少ないかもしれません。
ということで結論です。
本書は、「プロと素人のあいだ」の人が読むにはちょうどイイ!
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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