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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学

満足度★★★★
付箋数:26

近年の経営学の研究は、国際化と科学化が急速に進み、
多くの有用な論文が発表され、新しい「ビジネスの知」が、
次々と生み出されていると言います。

しかし、そういった最先端の経営学の知見は、
「MBAの教科書」には、決して反映されることはありません。

なぜなら、教科書に掲載するためには、一度、分析ツールに
落としこむ作業が必要であり、そのツール化は学業実績に
ならないため、経営学者へのインセンティブが働かないからです。

本書は、MBA本を読んでも、ビジネス誌を読んでも、
ビジネススクールの授業を通しても知り得ない
最先端の経営学の知見を紹介する本です。

著者は、『世界の経営学者はいま何を考えているのか』で、
「米国の主要なビジネススクールにいる教授は、
ピーター・ドラッカーさん「の本をほとんど読まない」
と書いて、反響を読んだ経営学者の入山章栄さん。

ちなみに、ドラッカーさんの本のみならず、日本で重宝されている、
ジム・コリンズさんの『ビジョナリー・カンパニー』についても、
米ビジネススクールの研究者は、ほとんど読まないそうです。

本書で紹介される経営学の研究の1つに、
ある有名な経営学の学術誌で最優秀論文の候補になった、
ピーター・マドセンさんと、ビニット・デサイさんの
共同論文があります。

それは、「宇宙軌道衛星ロケットの打ち上げの成功・失敗」
に関する研究です。

一見、ビジネスには関係ないように思えますが、
軌道衛星ロケットの打ち上げは、成功と失敗の区別がつきやすく、
かつ、失敗の割合も一定数あるため、組織が過去から学ぶことを
研究するには、格好の材料になるようです。

この研究では、4646回のロケット打ち上げを統計分析して、
次の3つの発見をしました。

  発見1. 一般に成功体験そのものは、「その後の成功」の確率を上げる
  発見2. とはいえ、大事なのは成功体験よりも失敗体験
  発見3. 組織に失敗体験が乏しい場合に限り、その組織の
     成功体験はむしろその後の失敗確率を高める。

つまり、失敗をほとんどしないまま、成功だけを積み重ねると、
サーチ行動が十分でないまま成功してしまうので、
結果長い目で見た成功確率が下がるということです。

入山さんは、「成功体験と失敗体験には望ましい順序がある」
と結論づけています。

これは、「若いうちに失敗経験を積め」という
人生訓が正しいことも証明しています。

このパターンに符合する例として入山さんが挙げているのが、
2014年に史上最高額でIPOを果たした、中国アリババ集団の創業者、
ジャック・マーさんです。

人生の前半で極端なまでに連続して失敗を重ねた後、
世界で最も成功した起業家になったマーさんは、
まさに望ましい順序を歩んだと言えます。

また、本書で紹介されていた、2001年の研究では、
「真にグローバルな企業」は、世界にわずか「9社」しかない
ことが示されていました。

真にグローバルな企業とは、ホーム地域からの売上が
大半を占めるのではなく、世界中からまんべんなく売り上げる
企業と定義されています。

この研究では、世界市場を「北米地域」、「欧州地域」、
「アジア太平洋地域」の三極に分け、ホーム地域から5割以下、
他の2地域からは2割以上の売上構成の企業を
真のグローバル企業の条件として調査しました。

2014年のデータで、この基準に当てはめると、
真にグローバルな企業と呼べる日本企業は、
「キヤノン」と「マツダ」の2社だけになるようです。

定義の仕方にもよりますが、意外と少ないものです。

この本から何を活かすか?

  経営学は「答え」を教えてくれない

経営学は、それぞれの企業の戦略や方針に、
「それは正解です」、「それは間違っています」と
安直に答えを出せる学問ではありません。

あくまで、経営学は「思考の軸」を示すに過ぎず、
「ビジネスという航海の羅針盤の役目」と本書では
説明されていますから、過度に期待することは禁物です。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 経営・戦略 | 07:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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