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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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「洞察力」があらゆる問題を解決する

満足度★★★
付箋数:23

第二次世界大戦の初期の1940年11月11日から12日にかけて、
イギリス海軍は、イタリアの軍港ターラントに空襲をかけました。

このときイギリス海軍は、1隻の航空母艦イラストリアスに
歴史上はじめて敵の戦艦を上空から攻撃するための戦闘機を搭載し、
イタリア艦隊を攻撃しました。

このとき、イタリア海軍は空からの攻撃に対しては、
安全だと考えていました。

なぜなら、爆撃機で上空から魚雷を打ち込む場合、
30メートル以上の水深がないと成功しないと信じられており、
ターラント湾は水深12メートル弱しかなかったからです。

ところが、イギリス海軍は魚雷が深く沈まない工夫を施し、
ソードフィッシュ雷撃機で24発の雷撃を行いました。

結果、イギリス海軍は自軍の損害はわずか雷撃機2機のみで、
イタリア海軍の戦艦3隻に大損害を与える勝利を収めました。

このニュースを聞いて、「見えない問題を見抜く力」を
発揮させた2人の海軍大将がいました。

1人は日本海軍の山本五十六さん、
もう1人はアメリカ海軍戦略部のヘラルド・シュタルクさんです。

山本さんは、アメリカとの開戦が不可避であるならば、
アメリカ海軍に壊滅的な打撃を与えなければ、
日本がアメリカに勝てる可能性はないと考えていました。

そして、ターラント海戦のニュースを聞いて、
真珠湾沖に平穏に投錨しているアメリカ艦隊もまた、
空からの奇襲攻撃に弱いかもしれないと考えたのでした。

一方、シュタルクさんは山本さんよりも早くこの事に気づきます。

残されたメモや手紙には、奇襲攻撃によってハワイにある
最も狙われやすい獲物は、そこに停泊している艦隊であり、
もし日本との戦争になれば、奇襲攻撃によって開戦することは
容易に想像できると記されていました。

  「このように敵対する2人の海軍大将は、イギリスの奇襲攻撃の
  意義を素早く把握していたのである。
  2人とも “見えない問題を見抜く力” が働いたのである。」

最終的にアメリカ軍はシュタルクさんの発した警告を聞き逃し、
山本さんはターラント海戦を応用して真珠湾攻撃を行いました。

さて、本書は「見えない問題を見抜く力」を発揮させて、
問題解決する方法を考察する本です。

著者は、現場主義的意思決定(NDM)理論を構築した、
米認知心理学者のゲイリー・クラインさん。

訳者の奈良潤さんは、もしノーベル心理学賞なるものがあれば、
100%の確率で受賞すると言うほど、その分野の大家です。

NDM理論では、「直感」が統計やアルゴリズムなどよりも、
意思決定において重要な役割を果たしていると考えます。

本書では、その理論を応用して「見えない問題を見抜く力」を
発揮する5つの方法を多くのエピソードと共に紹介します。

  1. 出来事のつながりから見抜く方法
  2. 出来事の偶然の一致から見抜く方法
  3. 好奇心から見抜く方法
  4. 出来事の矛盾から見抜く方法
  5. 絶望的な状況における、やけっぱちな推測に拠る方法

正直、どのようにすると「見えない問題を見抜く力」が
身につけられるかという明確な回答はないので、
再現性には疑問が残り、スッキリしない部分はあります。

しかし、興味深いエピソードが数多く紹介されているため、
読むには面白い本でした。

この本から何を活かすか?

2002年にプロスペクト理論によってノーベル経済学賞を
受賞したダニエル・カーネマンさん。

クラインさんは、カーネマンさんを研究上のライバルとして、
「敵対的協力者」と読んでいるそうです。

直感に関しては、カーネマンさんとは真逆の考え。

実際の人間の意思決定や創造性を発揮する場では、
アルゴリズムとはかけ離れたものであるとするのが、
クラインさんの主張です。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 問題解決・ロジカルシンキング・思考法 | 09:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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