ボスコン流 どんな時代でも食っていける「戦略思考」
2015年09月04日
付箋数:23
著者の牧野知弘さんは、かつて三井不動産のホテル会社に
出向した経験があるそうです。
当時、ホテルのホの字もわからない素人同然の牧野さんに
本社が命じたのは、「建物設備管理費を30%削減せよ」
という指令でした。
実は牧野さんが出向する前から、ホテル会社の業績は厳しく、
「経費削減」は先達によって、日々大変な努力が行われていた
項目でした。
「あんた、本社の役員にいじめられているだけだよ」
新任部長の牧野さんが、本社役員の脅かしに屈して、
建物設備管理費30%削減にOKしたという噂が
ホテル会社の中では広まったそうです。
それまでも厳しい業者との折衝をしながら3年間で5%ほどの
経費削減を実現してきた担当部門としては、
「できるわけがない」目標に対して、シラけるばかりでした。
しかし、一見無謀とも思える状況の中で、
牧野さんはわずか半年で、建物設備管理費35%削減に
成功します。
牧野さんは、一体、どのようにして経費削減に成功したのか?
ホテルの素人だった牧野さんは、次のような勝手な理論を
作りあげました。
「ホテルといってもオフィスビルなどと同じ建物、
シティだってビジネスだって所詮は同じ建物」
この自説をホテル会社の技術部長に話すと、
かなり冷ややかな返答があったそうです。
「全然違いますよ。建物のグレードそのものが違う。
シティホテルは手間暇がかかるのだよ。お客様もいろいろな
種類の方がいるのだから設備対応も大変なのだよ」
この切れ味の悪い返答を牧野さんは面白いと思い、
勝手な理論を更に深堀りしていきます。
全国にあった15のホテルのうちもっとも設備管理費が低い
ビジネスタイプのホテルをモデルにして、
各設備の設備管理費用や監視業務機能に関わる費用などを
ずらりと並べ、データに横串を刺してみました。
するとモデルから逸脱する数値が出てきたので、
その金額と内容を徹底的に精査。
実際にモデルに沿って適正な設備管理体系を新たに
構築しなおしてみると、多くのホテルが「昔ながらの慣習」や
慣行で管理業務をやっているところが多かったのです。
結果、ホテル会社の常識では到底実現不可能だった課題を
全く違う角度から眺めることで、35%もの経費削減を
実現したのです。
「素人だってできるのです。勝手理論。
ボスコンで教わった “なんでもやってやろう” の
チャレンジ精神と “どうやったらできるのだろう” と
常にゴールに向かっていく貪欲な精神のもたらした幸運でした。」
本書では、牧野さんがボストン・コンサルティング・グループで
どのようにして戦略思考を身につけたのか、
そして、他業界でそれをどのように活用したのかが語られます。
第1章 ボスコンから受けた強烈な洗礼
第2章 戦略立案のための切り口の見つけ方
第3章 戦略および処方箋の考え方・つくり方
第4章 決断の手法
第5章 アフターフォローがビジネスの盛衰を決める

ボスコン流スライド作成術
ボスコンでは文字の多いスライドを作成すると、
事前のミーティングなどでは一発で却下されるそうです。
良しとされるスライドの構成は次の通りです。
1. 結論を1行で書く(タイトル)
2. 大きなグラフで見せる
3. 理由の説明を最後に入れる
1枚のスライドに「意図」と「意思」を込め、
読ませるのではなく、見せてわかるように作成するようです。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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