活かす読書

読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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良い値決め 悪い値決め

満足度★★★★
付箋数:25

もし、あなたの仕事が「DOG」なら、あなたが得られる報酬は、
「無料」に向かうことでしょう。

つまり、働いても、働いても、利益にならないということです。

かつてボストン・コンサルティング・グループが提唱した
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)では、
事業を「金のなる木(cash cow)」、「花形商品(star)」、
「問題児(problem child)」、「負け犬(dog)」の4つに
分類しました。

PPMでの「dog」は撤退を検討すべき領域の事業でした。

これに対し、本書で田中靖浩さんが提唱するのは、
デジタル時代の「新しい負け犬(DOG)」です。

新「DOG」は、今までの負け犬よりも、
急激なスピードで、無慈悲な価格の下落に向かいます。

本書で説明される「DOG」は次の頭文字です。

  D : デジタル
  O : オンライン
  G : グローバル

デジタルの世界では、マネやパクリ、コピーが横行します。
オンラインの世界では、無料を相手に戦わなければなりません。
グローバルの世界では、仕事がコストの安い国に奪われます。

本書では、実際にDOG環境で消耗している企業として、
日本最大規模の量販店、ヤマダ電機の事例を取り上げています。

ヤマダ電機の2013年の売上高は約9000億円で、
前年より約1000億円も増収しました。

しかし、営業利益は前年の約200億円から、赤字に転落。
いわゆる「増収減益」というやつですね。

ヤマダ電機はそれまで、大量仕入れのスケールメリットを生かし、
リーマンショックの時でさえ黒字計上してきましたが、
ネット通販に対抗する「値下げ」のマイナスパワーによって、
利益が消し飛んでしまい、赤字に転落したのです。

DOG環境では、スケールメリットが効かなくなってしまいました。

ショールーミング現象で激安ネットショップと戦っていては、
利益が出なくなるのは当然かもしれません。

田中さんが本書で提案するのは、DOGと戦わない道です。

戦うべきか、戦わざるべきか、そのカギを握るのが
「値決め」なのです。

本書では、次の3つのステップで、DOGと戦わない道を歩みます。

  1. 値下げのメンタルブロックを外す
  2. 値下げの下限を知るため、値決めの数字を学ぶ
  3. 値決めを成功させるマーケティング&心理学を学ぶ

目指すのは、DOGと反対の「CAT」のいる世界です。

「CAT」とは、Cozy(居心地がよく)で、Analog(人間的な魅力)の
Touch(共感と触れあい)な世界です。

ブルーオーシャン戦略になぞらえて、値下げ競争が必至な
「レッドドック」から、良いものを気持ちよく高く売る
「ブルーキャット」へ転換するとも表現されています。

本書は、前半で利益を重視した適切なプライシングを解説し、
後半では値決めを軸とした、マーケティングや行動経済学に
ついて説明されています。

公認会計士の方が書いた本なので、最初はもっと会計色の強い
本なのかと思いましたが、意外と読みやすい本でした。

きっと、本書自体もDOGで戦うことを避け、
CATを考えて執筆されたのでしょう。

この本から何を活かすか?

  「良い値決めとは、 “価格の哲学” を心に持って行う値決めです。
  悪い値決めとは、 “価格の哲学” なく流されて行う値決めです。」

これが、本書のタイトルに込められた、田中さんのメッセージです。

  「 “良いものを、より安く” ―こんなバカげた話はありません。
  おかしいです。どっからどう考えても間違いです。
  悪いものは安いし、良いものは高い。
  これが商売の道理というもの。」

本書は、「値決め」についての田中さんの魂が感じられました。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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| 会計・ファイナンス・企業分析 | 08:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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