メガヒットはたった7つのキーワードで生まれる
2015年05月16日
満足度★★★
付箋数:23
今や知らない日本人が少なくなった「妖怪ウォッチ」。
マーケティングコンサルタントの新井庸志さんは、
「妖怪ウォッチ」は、たまたま成功したのではなく、
マーケティング戦略によって成功した、必然の結果だと語ります。
「 “妖怪ウォッチ” は成功すべくして成功した。
当たるか当たらないか、やってみないとわからない要素が強い
エンタテインメント業界において、確固たる成功方程式を
造り上げたレベルファイブ(妖怪ウォッチの制作会社)の
ビジネス “仕掛け力” には拍手を送りたいと思う。」
では、「妖怪ウォッチ」がメガヒットとなった裏には、
どのような仕掛けがあったのでしょうか?
まず、レベルファイブは「妖怪ウォッチ」の前に、
「イナズマイレブン」や「ダンボール戦機」などのアニメで、
キャラクターの良し悪しに大きく左右されない、
ビジネスとしてヒットさせる成功の方程式を確立していました。
それはアニメの放送に合わせて、プラモデルを発売し、
その後カードゲームなどを発売するなど、消費者との接点を
できるかぎり多くする仕掛けを事前に用意しておくこと。
「妖怪ウォッチ」においても、アニメの放送に合わせて、
テレビで見たシーンを追体験できる「妖怪メダル」を発売。
これはアニメになる前、コロコロコミックで漫画が連載される
1~2年前から戦略を作り、計画されていたことです。
その後のゲーム発売、菓子メーカーとのタイアップ、
カードやシールなどのメダルではない玩具の発売、
コンビニとのタイアップなど、どのように仕掛けていくかを
中長期の視点で事前に準備していたようです。
そして、新井さんは「妖怪ウォッチ」がヒットした
コンテンツとしての要因を次のように分析します。
まずは、万人受けするキャラクターであること。
敵役も含め親しみやすいキャラクターであることは、
老若男女から10年以上に渡って支持される「ポケモン」や
「アンパンマン」などにも共通する特徴です。
次に、単発で終わらせない時間軸が設定されていること。
「ポケモン」同様にキャラクターが進化していく構造と、
映画やゲームでもシリーズ化して、常にアクティブな状態を
キープすることが、コンテンツの成長には欠かせません。
また、新井さんは「妖怪ウォッチ」が、今後「ポケモン」を
超えるコンテンツとなるために欠かせない要素があると
指摘します。
それは、メッセージ性。
ロングヒットを記録するには、親からの支持も欠かせません。
これまでロングヒットしてきた「ポケモン」、「ドラえもん」、
「アンパンマン」などには、親が子どもに見て欲しいと思う
要素が散りばめられていました。
それは、「正義」、「友情」、「信頼」、「勇気」などの要素です。
内容の中心がギャグである「妖怪ウォッチ」が、
今後親からの支持を得るために、これらの要素をどれだけ
取り入れられるかがポイントになるようです。
本書は2014年にヒットした商品やサービスを題材に、
そのヒットの背景を7つのキーワードでまとめ、
2015年のトレンドの予兆についても解説します。
マーケティングの用語解説や、ヒット商品のランキングを発表
することが目的ではなく、「なぜ、その商品はヒットしたのか?」、
「なぜ、そのブームは起きたのか?」をマーケティングの視点から
分析します。

2015年トレンドのキーワードとなるのは「ギャップ」
そもそも「ギャップ」は魅力的なものですが、2014年から
このキーワードが注目される予兆はあったそうです。
ファミレスでのフォアグラステーキ、
立ち食いフレンチで食べるオマール海老など。
2015年は平均価格とのギャップ、日常とのギャップ、
住んでいる地域とのギャップ、性のギャップなど、
今まで以上のインパクトのあるケースが注目され、
ブームの火付け役になっていく可能性があるようです。
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