活かす読書
ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

希望の資本論

2015年05月11日
経済・行動経済学 0


満足度★★★
付箋数:22

  「私たちは、何のために働くのか。働くという労働こそが、
  社会の富を生み出す。これがマルクスの労働価値説です。
  働くことで富を生み出す。
  ところが、がむしゃらに働くことで、生活が一層貧しくなって
  しまうというのが、資本主義のパラドックスです。
  どうして、そんなことになるのか。それを理解するために
  『資本論』を読もう。これが現代の知の怪物=佐藤優氏の
  主張です。」

これは、本書の「はじめに」に書かれている池上彰さんの言葉。

本書はAERAの2014年11月10日増大号に掲載された対談、
「池上彰×佐藤優 資本主義の限界を生き抜く『資本論』」に
加筆・修正し、新たな対談を加えて再構成したもの。

対談というより、佐藤さんの独演会を池上さんがわかりやくすく、
解説&フォローしている印象が強い本です。

  第1章 ピケティからマルクスへ
  第2章 一冊の本が世界を変えた
  第3章 マルクス主義先進国ニッポン
  第4章 「イスラム国」とコミンテルン
  第5章 女性が資本主義を支える?
  第6章 わたしと『資本論』
  第7章 知性という最大の武器
  第8章 さあ、読んでみよう

フランスの経済学者、トマ・ピケティさんの『21世紀の資本』が
一大ブームになったことから、お二人の対談はピケティさんの
説に対する言及から始まります。

しかし、それはあくまで対談の前振りであり、
本書の主題は、カール・マルクスさんの『資本論』のススメです。

  「ソ連が崩壊し資本主義が勝利したとなって、もう革命が起こる
  心配がなくなった。そこで資本主義のやり方でいいんだと
  言っているうちに、社会主義革命が起こる前の、
  恐慌がひっきりなしに起こり、悲惨な労働状況が蔓延していた、
  まるでマルクスが『資本論』で書いていた当時のような状態に
  戻ってしまった。そこであらためて資本主義はどうなって
  いくんだろうという危機感が出てきて、『資本論』をもう一度
  読んでみようという人が出てきたのではないでしょうか。」

では、難解と言われるマルクスさんの『資本論』を読むと、
どんなことが得られるのでしょうか?

  「それから『資本論』を読んだ結果、どんないいことがあるのか
  というと、資本の論理に巻き込まれないためには直接的な
  人間関係が重要だということがわかるんですよ。
  『資本論』を読んで資本の論理がわかると、お手伝いをしたら
  子どもに今日は500円あげるとか、そういうことをしなくなる。」

資本の論理に絡め取られなくなり、お金以外に大切なものが
あることを理解できるようになるということです。

それ以外にも、『資本論』の強さは論理の強さなので、
これを読み解くと、論理が強くなるとも言われています。

ちなみに、お二人は『資本論』の解説本を出しています。

佐藤さんの著書は『いま生きる「資本論」』で、
池上さんの著書は『高校生からわかる「資本論」』です。

本書で『資本論』に興味をもった方は、本家と格闘する前に、
まずはこのお二人の著書を読んでみるのがいいかもしれません。

『資本論』の翻訳としては、国民文庫の 岡崎次郎さん訳
岩波文庫の向坂逸郎さん訳の本が薦められていました。

この本から何を活かすか?

歴史の年号を暗記するような受験勉強に意味はないのか?

佐藤さんは、早稲田大学と慶応義塾大学で講義した際、
次のような動機付けを生徒に語ったそうです。

  「ウエストファリア条約が1648年だということを知らないと、
  国際政治の専門家への入場券はもらえない。
  外交官になったとしてもダメ。インテリジェンスの世界でも、
  まず雑談がある。中国問題の専門家と言ったら、
  中国の人口を聞かれる。
  そこで間違えると、もう絶対に話を聞いてもらえません。
  そういうチェックがあるんです。将来役に立つことだから、
  さっそくもう1回高校の世界史の教科書を買ってきて、
  山川出版社の問題集でやり直しましょうと言いました。
  そして毎年センター試験の問題はきちんとやって、
  常に9割はキープしておく。」

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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