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読んだ本を、どう活かすか? セミリタイヤしたikadokuが、週に5冊、ビジネス書・自己啓発本・投資本・ベストセラーなどの本を紹介します。

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数学の言葉で世界を見たら



満足度★★★★
付箋数:22

殺人事件の裁判が行われていました。
ある女性と友人が自宅前で死んでいるのが発見された事件です。

殺人の疑いをかけられたのは、殺害された女性の元夫。

検察側は、元夫が長年に渡って女性に暴力を振るってきた
証拠を提出しました。

家庭内暴力が殺人につながったという筋書きを
立証しようとしたのです。

これに対し、弁護団の1人が犯罪統計の数字を引用して、
次のような根拠で無罪を主張をしました。

妻を虐待していた夫の中で、実際に妻を殺してしまうのは
2500人に1人しかいない。

確率としては小さすぎる。

この確率から、家庭内暴力が殺人につながったとは
考えにくいので、家庭内暴力の証拠は無視すべきだ。

果たして、弁護側の主張は正しいのでしょうか?

実際の裁判では、検察側はこれにうまく反論できず
陪審員の心証を得ることができませんでした。

しかし、弁護側の主張は詭弁だったのです。

これをきっぱりと論破できるのが「数学」の言葉です。

弁護側の主張で、無視されているのが元妻がすでに死んでいる
という事実です。

一般的に妻を虐待していた夫が、妻を殺してしまう確率は
2500分の1だとしても、単純にこのケースに当てはめて
考えることはできないのです。

今回考えるべきなのは、「家庭内暴力があって、しかも妻が
殺されているときに、夫が妻を殺していた確率」です。

いわゆる条件付き確率ですね。

犯罪統計では、既婚女性が夫以外の人に殺される割合は、
20,000人に1人。

仮に家庭内暴力を受けている妻が100,000人いるとすると、
その中の5人は家庭内暴力に関係なく殺されることになります。

一方、家庭内暴力を受けている妻が夫に殺される確率は
1/2500なので、100,000人の中で40人が夫に殺されることに
なります。

殺された妻は全部で5+40=45人。

その中で夫に殺されたのは40人なので、
家庭内暴力を受けていた妻が殺されていたときに、
夫が犯人である確率は、40/45≒0.9になります。

つまり条件付き確率で考えると、検察側は夫が家庭内暴力を
振るっていたことが立証できれば、元夫が殺した確率を
90%と裏付けることができたのです。

これは、かの有名なO・J・シンプソン事件の裁判です。

弁護側のハーバード大学法科大学院アラン・ダーショビッツ教授
の主張に対し、数学力のなかった検察側は、まともな反論が
できなかったようです。

これは本書の第1話に収められている確率のエピソード。

本書の著者は『重力とは何か』、『強い力と弱い力』なども
執筆している著名な物理学者の大栗博司さんです。

実際に大栗さんには、娘さんがいて、高校生になるその子に、
語りかける形式で、魅力的な数学の世界を紹介します。

  第1話 不確実な情報から判断する
  第2話 基本原理に立ち戻ってみる
  第3話 大きな数だって怖くない
  第4話 素数はふしぎ
  第5話 無限世界と不完全性定理
  第6話 宇宙のかたちを測る
  第7話 微積は積分から
  第8話 本当にあった「空想の数」
  第9話 「難しさ」「美しさ」を測る

数学の楽しさ、美しさ、驚きを伝えるエピソードが満載。

知的好奇心を刺激する良書ですが、
高校生の娘に語りかける設定なので、
少なくとも高校ったぐらいの数学力がないと
十分に楽しむことはできないように思えます。

この本から何を活かすか?

ウチの娘は中学3年生です。

ちょうど先日、素因数分解と因数分解を勉強したときに
「エラトステネスの篩」をやったところです。

もう少し、娘が数学に興味が持てるように
「第4話 素数はふしぎ」の内容を紹介したいと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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