運を支配する
満足度★★★
付箋数:23
「本書の白眉は、藤田君が丁寧に思考を重ね、ときに身を捩る
ようにしながら、私の語る運やツキの話を仕事上の事柄に
翻訳している部分にあると思う。その意味では、この本の8割は
藤田君の力でできたようなものだ。
これからも藤田君はさらなる高みを目指して、仕事における
勝負師として、人として、果敢に前へ進んでいくだろう。
雀鬼流の遺伝子のいくばくかがこのような形で引き継がれて
いくことは私にとっては嬉しい限りである。」
このように語るのは、かつて麻雀の代打ちとして、
20年間無敗の雀鬼と呼ばれた桜井章一さん。
桜井さんが「藤田君」と呼ぶのは、サイバーエージェント社長の
藤田晋さんです。
本書はこのお二人の共著で、「運やツキ」について語る本です。
片や伝説の雀士、片やIT企業の経営者。
一見、住む世界が違う桜井さんと藤田さんですが、
お二人はどのような接点があるのでしょうか?
実は藤田さん、2014年の麻雀界の日本一を決める大会
「麻雀最強戦」に出場し、並み居るトップレベルのプロ雀士を
抑えて優勝した凄腕の雀士なのです。
そんな藤田さんが学生の頃、麻雀が強くなりたい一心で通ったのが、
桜井さんが主催する雀鬼会でした。
麻雀において、お二人は師弟関係なのです。
本書は対談ではなく、同じテーマに対し交互に考え方を語る
スタイルで書かれています。
第1章 ツキを整える
第2章 運をつかむ人の習慣
第3章 悪い流れを断つ
第4章 ツキを持続させる
第5章 運をまねく作法
ところで、麻雀とビジネスに共通点はあるのでしょうか?
麻雀は個人競技でゼロサムゲームです。
そして、騙し合いで相手に勝たなければなりません。
一方、ビジネスは団体競技で価値を生み出す活動です。
ビジネスを円滑に行うには、人を騙すのではなく、
コミュニケーションが重視されます。
麻雀とビジネスでは、求められる力が違うようにも思えますが、
藤田さんは次の点でよく似ていると指摘します。
・どんな牌が配られるかわからない「不平等」なところから
スタートする。
・一定のルールにのっとり、配られた牌をもとに、
いかに人より早く大きく上がれるかの「相対的な競争」になる。
・局の進行、相手との点棒差など刻一刻と状況が激しく
変化する中で、冷静で素早い「状況判断力」が問われる。
・4人に1人しか上がれないため、大半の時間は「忍耐力」を要する。
藤田さんは、ビジネスで必要なことの大半は
麻雀から学んだと語っています。
藤田さんのように起業することは、一種のギャンブルですから、
勝負師としての能力は必要なのかもしれません。

なぜ、ビギナーズラックは起こるのか?
桜井さんは本書で、次のように語ります。
「(ビギナーズラックは)単にツイていたというレベルの
話では実はない。ビギナーズラックは起こるべくして起こったことで、
決して偶然ではない。
ビギナーズラックは麻雀というゲームにおいても、しばしば起こる。
麻雀の手には難しいものからやさしいものまで多彩な
バリエーションがある。
だが、ビギナーにとってはどれが難しい手なのか、
やさしい手なのかわからない。
つまり、ビギナーは難しい複雑な手が選択肢の中にないので、
必然的にシンプルな手をもってくる。
それが結果的に勝ちへとつながるのだ。」
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
- 関連記事
-
- わたしが神さまから教わった成功するビジネスパーソンの新流儀 (2015/06/06)
- 運を支配する (2015/05/02)
- 「成功法則」を本気で科学する (2014/11/04)