活かす読書
ikadoku

ビジネス書・ベストセラー本・科学本を中心に13年以上、ひたすら本を紹介し続けるブログ。既に紹介した本は3700冊以上。

ゆっくり、いそげ

2015年05月01日
経済・行動経済学 0


満足度★★★
付箋数:22

本書の著者、影山知明さんは東京大学法学部卒業後、
マッキンゼー&カンパニーを経て、ベンチャーキャピタルの
創業に参画した経歴を持つ方です。

そんな影山さんが2008年に西国分寺の生家の地に、
クルミをテーマにしたカフェ「クルミドコーヒー」を
オープンさせました。

クルミドコーヒーでは、集客のために飲食店でよくやる
ポイントカードやポスティングをやらないといいます。

それは、なぜか?

  「それはひと言で言うならば、お店に来てくださる方の
   “消費者的な人格” を刺激したくないと考えたからだ。
  それとは、 “できるだけ少ないコストで、できるだけ
  多くのものを手にれようとする” 人格。
  つまりは “オトクな買い物” を求める人間の性向だ。」

これは誰しもが少なからず持っている心理です。

オトクな買い物を求める心理は誰もが持つものの、
必ずしも常に優先されるものではありません。

そしてこの消費者的な人格は、お店の姿勢にも影響を与えます。

お客さんがオトクな買い物をしたいのと同様、
店側もコーヒーやケーキを提供するためのコストを
できるだけ小さくして、少しでも高い代金を受け取ろうとする。

実はお客さんとお店の性向は合わせ鏡のようなものなのです。

それぞれが自己の利益を最大化させるべく行動選択する
交換のメカニズムが働きます。

それがホモ・エコノミクスとよばれる合理的経済人。
現在の主流派経済学が前提とする経済主体です。

しかし、一方で人の中にはいい贈り物を受け取った時に、
「いいものを受け取っちゃったな。もらった以上のもので、
なんとかお返ししたいな」と考える人格も秘めています。

これは、自分が手に入れたものより、支払うものの方が
大きくなるので、消費者的な人格とは真逆の性向です。

これを本書では「受贈者的な人格」と呼びます。

  「面白いのは、世に “消費者的な人” と “受贈者的な人” とが
  いるわけではないということだ。事はそれほど単純ではなく、
  きっとあらゆる人の中に両方の人格が存在し、
  時と状況によってそれぞれが発現するのだ。
  だから、問題になるのはお店がお客さんの中に眠るどちらの
  人格のスイッチを押すかということ。
  ポイントカードやポスティングをやるということは、
  ともすればお客さんの中の “消費者的な人格” スイッチを
  押すことになる。そして、そうしたお客さんの姿勢は
  はね返り、お店のありようも変える。」

クルミドコーヒーでは、贈ることを身体的に理解し、
お客さんにも贈り物を受け取る経験をしてもらうため、
期間限定で「くるみ餅」というメニューを出すことがあるそうです。

1つ1つクルミの殻を割り、1つずつ渋皮むきをして作る
手間ひまかけた、コスト度外視しのメニューです。

過剰な負荷がかかりますが、店側の原始的な姿勢が
「贈る」ことだと思い出される貴重な機会のようです。

クルミドコーヒーが目指すのは、ビジネスとスローの
間をいくもの。

それが本書のタイトルにもなっている「ゆっくりいそげ」です。

本書は理想と現実を両立させる新しい経済のカタチを
カフェから考えます。

この本から何を活かすか?

クルミドコーヒーのホームページはこちら
(ページを開くと音が流れます)

食べログのカフェ部門で全国1位になったこともあるそうです。

行ってみたいところですが、私は遠くて行けません。

とりあえず、時間の流れを大切に考えているようなカフェを
地元で探してみたいと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.

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この記事を書いた人: ikadoku
毎朝4時に起きて本を読み、13年以上ブログで紹介記事を投稿しています。北海道在住。たまに旅行で長期の休みを取ります。

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