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現実を生きるサル 空想を語るヒト

現実を生きるサル 空想を語るヒト―人間と動物をへだてる、たった2つの違い現実を生きるサル 空想を語るヒト―人間と動物をへだてる、たった2つの違い
(2014/12/10)
トーマス・ズデンドルフ

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満足度★★★★
付箋数:23

  「私たちの心は文明やテクノロジーを生み出し、
  それらはこの地球上を変えてきた一方、現存する動物でヒトに
  最も近縁の種は、残された森で遠慮がちに暮らしている。
  人間と動物の心には、計り知れない “ギャップ” が
  あるように見える。このギャップの正体とは何か、
  そしてそれはどこから生じたかというのが本書の主題だ。」

私たち人類の今日があるのは、紛れもなく進化の賜物です。

しかし、なぜ人類だけがこのような知能を持つようになり、
チンパンジーはヒトになれなかったのでしょうか?

本書は人間と動物のギャップに注目し、その謎に迫る本です。

著者はドイツ出身の心理学者、トーマス・ズデンドルフさん。

現在はオーストラリアの名門、クイーンズランド大学の
心理学教授として、人間の心の進化に関する謎の解明に
取り組んでいます。

  「人間の心で特に基本的な特性の1つを検討してみよう。
  それは、感覚では捉えられないものを想像できることだ。
  私たちは、過去や未来、それにまったく架空の世界を
  思い描くことができ、それらについて考えることもできる。」

この記述が本書のタイトルの由来です。

ズデンドルフさんが、人間と動物の違いを詳細に検討するのは、
次の6つの領域についてです。

  「言語」、「先見性」、「心の読み取り」、
  「知能」、「文化」、「道徳性」

これらの領域において、その能力の本質や発達について
人間と動物の違を見ていきます。

違いを比較・分析するのは、著者の主観によるものではなく、
あくまで科学的な比較実験例を用いています。

そしてズデンドルフさんは、私たち人間が人間であるための
たった2つの特性を導き出します。

  「私は本書で、私たちを人間たらしめるものの本質と
  起源について、現在ある証拠を洗い直した。
  そしてこれらのデータをもとに、人間の心の独自性が2本の脚、
  すなわち “入れ子構造を持つシナリオを心のなかで生み出す
  際限のない能力” と “シナリオを構成する他者の心と
  つながりたいという抜きがたい欲求” によって
  おもに支えられていると提唱してきた。」

類人猿と人間の心の間には、単純に進化という言葉では表せない
大きなギャップがありますが、そのギャップを越えさせたのが、
入れ子構造を持つシナリオ構成力と、心を他者の心と
結び付けたいという衝動の2つの特性です。

この2つが、動物のコミュニケーションを人間の言語へ、
記憶を心のなかでの時間旅行へ、社会的認知を心の理論へ、
物理的な手がかりによる問題解決を抽象的な推論へ、
社会的伝統を累積的な文化へ、共感を道徳へ変えたと説きます。

本書は、比較検証することで、私たち人間の本質が
徐々に浮かび上がってくる、優れた科学ノンフィクションです。

400ページを超える力作ですが、その展開に引き込まれ、
グイグイと読み進めることができます。

また、人間の実証例として、ズデンドルフさん2人の子どもが
登場するのが微笑ましい。

この本から何を活かすか?

  「動物と人間のギャップそのものは、今後どうなるだろう?
  可能性として、ギャップは小さくなる、大きくなる、変わらない、
  の3つしかないのは明らかだ。」

動物と人間のギャップについて、ズデンドルフさんは、
2つの理由から、今後、大きくなると予測しています。

1つは人類の蓄積した知識が、更に人間の知性を高めるから。

2つ目の理由は、ヒトに近縁の動物の能力を低下させ、
自分たちをこの惑星でより特別な存在にすることができるから。

これは人間が類人猿の知能を低下させるということではなく、
絶滅させる可能性があることを指摘しています。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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