思考のチカラをつくる本
![]() | 思考のチカラをつくる本: 判断力・先見力・知的生産力の高め方から、思考の整理、アイデアのつくり方まで (単行本) (2014/10/10) 白取 春彦 商品詳細を見る |
満足度★★★
付箋数:22
ソクラテスさんの例で説明されることが多い「演繹法」。
しかし、演繹法によって推論する場合、
注意しなければならない点が2つあると、
本書の著者・白取春彦さんは指摘します。
まず、1つ目の例。
大前提 : すべての市民は税金を支払っている
小前提 : ソクラテスの赤ん坊は市民である
結論 : よって、ソクラテスの赤ん坊は税金を支払っている
論理は正しくつながっていますが、
この結論が誤りであるのは明らかです。
一体、何が間違っているのでしょうか?
この例では、「大前提」が間違っています。
つまり、演繹法は大前提が誤っていれば、結論も誤ってしまうのです。
では、2つ目の例です。
大前提 : すべての人間は呼吸している
小前提 : ソクラテスは呼吸している
結論 : よって、ソクラテスは人間である
こちらは、先ほどの例より間違っているのが気づきにくい
誤った演繹法の例です。
結論が正しいので、誤った演繹法だとわかりにくのです。
しかも、大前提も小前提も正しく、全体としても
いかにも正しそうに見えます。
確かに、すべての人間は呼吸していますが、
人間だけが呼吸しているわけではありません。
猫も犬もイルカも呼吸しています。
しかし、猫も犬もイルカも人間だとは断定できません。
こちらは、大概念・中概念・小概念の3つが入れ子構造に
なっていない誤りです。
概念をボウルで表すと、正しい演繹法では、
大きなボウルのなかに中くらいのボウルが入り、
更にその中くらいのボウルのなかに、小さなボウルが入ります。
しかし、この例では、大きなボウルのなかに、
中くらいのボウルと小さなボウルが並んで入っていて、
完全な入れ子構造にはなっていないのです。
ここでは、大概念は「呼吸している」、中概念は「人間である」、
小概念は「ソクラテス」です。
中概念と小概念の関係性が、前提で示されていないのです。
もともと、演繹法は、前提と同じことしか言えません。
大前提 : すべての人間は必ず死ぬ
小前提 : ソクラテスは人間である
結論 : よって、ソクラテスは必ず死ぬ
大前提の時点で、既にソクラテスが必ず死ぬことが、
言外に述べられているのです。
それでは、なぜ、前提と同じことしか結論で言えない演繹法が
必要なのでしょうか?
なぜなら、演繹法を使ってしか、正しい前提から、
正しい結論を導き出せないからです。
そして、前提と同じことが結論であっても、
それが未知のものであるかもしれないからです。
つまり、演繹法は未知のものを発見する思考法として、
必要なのです。
ここでは本書の演繹法の説明を紹介しましたが、
これは本書の思考のチカラをつくる技術の一例です。
本書では、生きるチカラにつながる様々な思考法が
紹介されています。

「考えるためには、あらかじめ練習が必要だ。
その練習とは何か。本を読むことだ。
読書を、一種受け身の作業だと思わないでほしい。
読むことは同時に、考えることでもあるのだ。」
つまり、「本を読むとアタマがよくなる」のは
本当だということなんですね。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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