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ミツバチ大量死は警告する

ミツバチ大量死は警告する (集英社新書)ミツバチ大量死は警告する (集英社新書)
(2013/12/17)
岡田 幹治

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満足度★★★
付箋数:16

1962年、米国の生物学者、レイチェル・カーソンさんは、
著書『沈黙の春 』で、農薬で利用されている化学物質の
危険性を取り上げ、環境問題を告発しました。

その本でカーソンさんは、DDTなどの農薬の大量使用が、
「鳥たちの鳴かなくなった春」をもたらしたと指摘。

更に、人類が20世紀になって「核」と「化学物質」という
「恐るべき力」を手に入れ、これまでにないやり方で
自然を変えようとしていると警告しました。

  「それから50年、 “沈黙の春” はいまなお終わっていない。
  カーソンの告発を受けて、DDTのような毒性がとくに強い農薬や、
  オゾン層を破壊するフロンのような物質は製造・使用が
  禁止されたり、制限されたりしたが、それに代わって
  新しい物質が次から次へと開発された。世界で使われている
  化学物質は(少量使用のものも含め)約10万種に増え、
  毎年多数の新規物質が追加されている。
  その多くは安全性が十分には確かめられていないものである。」

本書はフリージャーナリスト岡田幹治さんによる
日本版の『沈黙の春 』。

きっかけは、2009年に長崎県で起きたミツバチの大量死でした。

この原因を本書ではネオニコチノイド系農薬が原因であるとし、
各国での使用状況なども比較し、その影響度の解明に迫ります。

  「ミツバチは人類が誕生するはるか以前に地球上に現れ、
  植物の受粉を手伝って森をはぐくみ、地上に命をつないできた。
  神経が発達していて、環境のわずかな変化にも敏感に反応する。
  ミツバチと人間とは異なる生物だが、脳や神経の基本構造は同じだ。
  その意味でミツバチは私たちにとって、危険性を事前に知らせる
   “炭坑のカナリア” のような存在であり、今日のミツバチの姿は
  将来の私たちを示しているともいえる。」

本書は、大きく2部構成になっています。

前半は、ミツバチの生態や養蜂家の実情を紹介しつつ、
大量死した異変を追跡します。

後半では、ミツバチ大量死の有力な原因と目される
ネオニコチノイド系農薬の使用実態や、
日本の「農薬安全神話」のまやかしを暴きます。

更には、赤トンボが消えた日本の田んぼの危機、
子どもたちの発達障害、シックハウス問題など
化学物質が原因とされる環境問題全体に言及します。

それらの原因の「農薬を規制」することが、岡田さんの主張です。

ですから、本書はポピュラーサイエンスの本ではなく、
環境化学物質の蔓延に警鐘を鳴らす本です。

丹念に取材を重ねていますが、結論ありきで書かれている
部分もあるので、個人的には論理の飛躍がないかを
確認しながら読みました。

ミツバチの大量死と言えば、2006年に米国でも話題になりました。

本書では、米国の蜂群崩壊症候群(CCD)
については、その原因が究明されていないことから、
虚構や誤解である可能性も指摘します。

この本から何を活かすか?

本書は農薬使用の禁止を訴える本なので、
ミツバチの生態など生物学的な話はオマケです。

純粋にポピュラーサイエンスとして、ミツバチの社会的な生態を
知りたいならトーマス・D. シーリーさんの
ミツバチの会議』がおすすめです。

ミツバチへの愛がか感じられる良書です。

また、ミツバチの蜂群崩壊症候群(CCD)の謎を
ミステリー的に読みたいなら、ローワン・ジェイコブセンさんの
ハチはなぜ大量死したのか』がおすすめです。

こちらは文庫版が出て買いやすくなりました。

いずれも本書とは立ち位置が異なる本です。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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