日本の論点
2013年11月22日
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満足度★★★
付箋数:21
「これから先、グローバル企業のアジア部長に
誰がなるかといえば間違いなく韓国人。日本人は韓国人の上司に
レポーティングするのが関の山だ。
しゃかりきに勉強させなくなった弊害は、今後重くのしかかる。」
相変わらず刺激的な物言いをする大前研一さん。
日本の覇気がなくなった原因が、「競争させない教育」に
あると指摘します。
その結果、若い世代の意欲がなくなり、
草食化と呼ばれるようになったと言います。
少し古いデータですが、2007年の日本青少年研究所の
アンケート調査では、日米中韓、4ヶ国の高校生の
意識の違いが浮き彫りになっています。
「生活意識」についての質問には、次のような差がでています。
日本 「暮らしていける収入があればのんびり暮らしていきたい」
米国 「一生に何回かはデカイことい挑戦してみたい」
中国 「やりたいことにいくら困難があっても挑戦してみたい」
韓国 「大きい組織の中で自分の力を発揮したい」
「偉くなること」についての回答は次の通りです。
日本 「責任が重くなる」 「自分の時間がなくなる」
米国 「自分の能力をより発揮できる」 「周りに尊敬される」
中国 「自分の能力をより発揮できる」 「責任が重くなる」
韓国 「周りに尊敬される」 「自分の能力をより発揮できる」
更に、「偉くなりたいか」という質問に対して、
「偉くなりたいと思う」または「強くそう思う」と答えたのは、
米国22.3%、中国34.4%、韓国22.9%に対して、
日本の高校生はわずかに8.0%だったそうです。
このアンケート調査も、自分の主張を裏付ける部分だけ、
あるいはキャッチーなところだけを切り取っている
感じもしますが、概ねそのような意識の違いがあるのでしょう。
大前さんが、このように日本人は韓国人の後塵を拝すと
書いたのは、2011年1月のこと。
当時、民主党政権で菅首相が掲げていた「最小不幸社会」という
わけのわからないマニフェストを批判するためです。
本書は、大前さんがプレジデント誌で8年間連載する
「日本のカラクリ」の2011年~2013年の記事をまとめたもの。
政権も交代し、ビジネス環境も大きく変わっていますから、
少し時代を感じさせる内容も見られます。
しかし、大前さんが本書で指摘した20の問題は、
なにも解決されず、時間だけが経過しているので、
日本の論点は、3年たってもそのまま残っています。
本書で示される視点や、解決の処方箋は、
問題の核心を突き、さすが大前さんと感じるものばかりです。
大前さんは1995年の都知事選で敗戦してから、
自分が表舞台に立つのは向いていないと悟り、
裏方に徹して改革に向けた政策を立案し、論点を世に提示して
いくことを自らの役回りとしてきたようです。
しかし、大前さんが20年前から示してきた論点が、
何も解決されずに、そのまま残っているならば、
別の方向からも考えてみる必要があるように思えます。
それは、大前さんの「裏方に徹する」というやり方。
核心的な政策を作りながらも、
それがほとんど実行されていないわけですから、
表舞台には向かないと悟った時と同じように、
別の悟りが必要なのかもしれません。

1993年に刊行された大前さんの『新 大前研一レポート』。
大前さんがこれまで世に問うてきた論点で、
この本に出ていない論点は、何一つないそうです。
私は、けっこう大前さんの本は読んでいますが、
あまりこの本の記憶は残っていません。
本当に、20年前に、現在の日本の問題点を見抜いていたのか?
古い本なので、図書館であらためて借りて読んでみようと思います。
Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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