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エピゲノムと生命

エピゲノムと生命 (ブルーバックス)エピゲノムと生命 (ブルーバックス)
(2013/08/21)
太田 邦史

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満足度★★★★
付箋数:23

現代のクローン技術では、同じDNAを持つ「クローン猫」を
作ることができます。

実際に米国には、ペットのクローンを作る
バイオベンチャー企業がありました。

しかし、「三毛猫」のクローンを作っても、
同じ体毛のパターンの三毛猫にはなりません。

三毛のパターンが同じにならないどころか、
ニ毛猫になってしまう場合があります。

なぜ、同じDNAを持つクローン猫なのに、
同じ体毛パターンの三毛猫にならないのでしょうか?

それは、DNA以外に遺伝を決める要素があるからです。

本書のテーマは、「エピジェネティクス」。

DNAの情報(塩基配列)は変わらないのに、細胞の性質が変化し、
記憶・継承されるという概念です。

それは、中身が同じでも着ているものを変えれば、
その人の性格にも違いが出てくるようなもの。

  「実は我々の体の設計図であるDNAは裸ではありません。
  ヒストンという円盤状のタンパク質がDNAに数珠状に結合し、
  これが階層的に集合して、クロマチン構造や染色体構造と
  呼ばれる服を着たような状態になっています。」

この服を変えることで、裸のDNAしか持たない場合に比べ、
複雑な遺伝情報を伝えることができ、服を変えることで、
いろいろなDNAの使い方ができるようになります。

ちなみに、三毛は基本的に「メス」だけに
現れる体毛のパターンです。

なぜなら、それは「X染色体の不活性化」という
エピジェネティクな現象によって生まれるからです。

基本的にメスだけと言うのは、基本以外もあるということ。

オス猫でも3万匹に1匹くらいの割合で、
X染色体を2つと、Y染色体を1つ持つ猫がいて、その場合、
X染色体の不活性化が起こり、三毛になるそうです。

だからオスの三毛猫は貴重で、高価で取引され、
船乗りのお守りとして用いられることもあったとか。

なお、ヒトの場合、X染色体が1本多くなると、
女性っぽい感じになり、この染色体の異常を
「クラインフェルター症候群」と言うそうです。

さて、本書はエピジェネティクスの入門書として、
一般的なエピソードも交えて、わかりやすく解説されています。

しかし、化学式も出てきますし、後半は少し専門的な
内容になっていますから、まったく生物の予備知識なしで
読むのは、ちょっとつらいかもしれません。

エピジェネティクスの雑学レベルの話から、
もうちょっと踏み込んで詳しく知りたい方にとっては、
コンパクトながら濃い内容が詰め込まれた良書です。

  「かつて読んでいたブルーバックスのことを思い出すと、
  当時は一線級の先生たちが子供たちのために、
  かなり難しいことを紹介していたものだと感じます。」

著者の太田邦史さんは、小学生のころから、
講談社のブルーバックスシリーズを読んでいました。

本書には、かつてお世話になったブルーバックスへの
オマージュが込められているのです。

この本から何を活かすか?

1983年にトウモロコシを用いた染色体の研究で
ノーベル生理学医学賞を受賞したバーバラ・マクリントック女史。

DNAの二重らせんの構造の発見よりも前に、転移性因子を
発見したため、その実績が正しく評価されるまでに、
かなり時間がかかりました。

しかもマクリントックさんは、1951年の論文で既に、
エピジェネティクスの考え方と同じ概念を示していたようです。

本書ではマクリントックさんのエピソードについても
紹介されていましたが、私はもう少し詳しく
マクリントックさんについて調べてみようと思います。

Miss a meal if you have to, but don't miss a book.
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